第155回交流会報告(2025年3月度)
2025年 04月 15日2025年3月度 交流会(第155回)報告
1.日時:3月14日(土)14:00~16:30
2.会場:品川区立総合区民会館(きゅりあん)4階 第1グループ活動室
3.参加:18名
4.話題提供
(1)テーマ-1「全てのスマホに特許の水晶発振子を標準搭載する」
発表者 株式会社A-MAX 代表 小林 了 氏
【概要】
①水晶発振子とは
各家庭に30から50個の水晶発振子がある。
時計に始まり、家電製品や自動車、スマホにも水晶発振子は無線の周波数制御のキーデバイスとして使われている。
特にスマホが4Gから5G/6Gと進化において水晶発振子の重要性が増してきている。
また、NTTが2030年から始める光通信(IOWN)においても重要なデバイスとなってくる。
②水晶発振子の市場
日本メーカー(日本電波工業、大真空、エプソン、村田製作所、京セラなど)が世界の60%のシェアーを持っていて、台湾、中国製が後を追っている展開である。
今後、スマホ関係を中心に市場は現在の30億ドルから8年後50億ドルに伸びると予想されており各社積極展開を模索している。
③水晶発振子の課題
スマホは場所や状況により繋がりづらい問題を抱えている。
今後、通信スピードや容量の増加により、益々重要度を増してくる。
④問題を解決するには
繋がりづらい原因は、位相のノイズで、位相ゆらぎとQ値(品質係数)によるものである。
今までは回路設計で逃げていたが、限界にきており、我々はQ値を高めることに取り組み、自社でQ値を従来の4倍にすることに成功し、位相ノイズは劇的に減少させることができた。
⑤TCXO,OCXOの特許とその効果
4G⇒5G/6Gになると
・データー通信容量 ⇒1000倍
・接続密度 ⇒ 100万点/km
・待ち時間 ⇒ 1ms
<TCXO特許>(エネルギー閉じ込め)
水晶発振子のQ値増大:Max4倍
WiFi無線の安定化:位相ノイズの低減な(1/6)、BER(ビットエラー率) ≒0.0000001
<OCXO特許>(低温処理)
小型化(従来品の1/50が可能)
構成部材の数減少/信頼性向上など
⑥販売戦略
特許は日本/台湾/中国/米国で取得済み。
近日中にA-MAXという会社を設立する。
TCOXやOCXOの特許を搭載した装置をOEMで製造して、スマホ販売企業やWiFi無線機器販売企業に売り込む。
⑦事業計画
4年後に売上48億円(粗利20%)を目指す。
⑧皆さんへ
会社設立のための資本提供枠が残っています。(縁故出資者募集中)
興味のある方は問い合わせください。
【主な質疑応答】
Q1.本水晶発振子の特許の内容は?
⇒ 圧電作用の振動機能が最適化する構造
Q2.水晶発振子の切断方位と周波数温度特性は?
⇒ 水晶発振子の温度に夜発振周波数の変化の低減は切断方位と雰囲気温度に依存する。
OCXOの場合、従来の切断方位(SCカット)では、雰囲気温度が80℃程度で発信周波数の変化が少なく、高温を維持しなければならなかったが、本切断方位(ITカット)では好ましい雰囲気温度は40℃程度であり、常温近くで、制御は容易である。
Q3.位相ノイズ特性は?
⇒ 振動の状態を示す周波数ゆらぎ係数(品質係数)Q値が従来値の4倍になり、位相ノイズは1/16に低減され、BER(ビットエラー率)≒0.0000001と極めて小さくなる。その為に通信状態が安定的で、また、高速通信が可能になる。
(2)テーマ-2「水晶デバイスが出来るまでの工程・設備について」
発表者 株式会社バストインターフェイス 高橋 邦隆 氏
【概要】
水晶発振子の製造工程は3つに分かれる。
①人工水晶を作る:種を中心にして水晶の結晶を成長させる。
②水晶を切断して研磨する:半導体のウエハーを作る状態に近い。
③両面に電極を付ける:半導体のウエハーでの加工と似ている。
製造工程は半導体と共通点が多く、装置は半導体の中古を利用するケースが多い。
【質疑応答】
天然の水晶は使わないのか? ⇒ 今は全て人工水晶である。
【所感】
水晶発振子はネジ巻き時計をクヲーツ時計に変えたすごい技術と思っていて、その後関心が薄れていましたが、今回の話を聞いて、今後の世の中でキーデバイスになっているのだと見直しました。ノイズの問題が重要になってくるのは間違いないので、この特許技術はその解決策の一つの可能性がなると思います。
小林さんの技術を追求していく姿勢は、人生観として尊敬いたします。人生として出世とかお金持ちになるよりのもっと充実する世界があるのではないかと思いました。
今後の人生をどう生きるか、大いに考えされられました。有難うございました。
【報告】三木和幸