2025年5月度セミナー#265「香りを感じるメカニズム:嗅覚の機能とその特徴」
2025年 03月 24日科学技術者フォーラム(STF) 2025年5月度セミナー(第265回)のご案内
https://stf.or.jp/top/images/file/m708.pdf
「香りを感じるメカニズム:嗅覚の機能とその特徴」
参加申込⇒ https://peatix.com/event/4351685/
東京大学大学院 農学生命研究科
応用生命化学専攻 生物化学 准教授
博士(農学) 岡本 雅子 氏
香りは、生き物にとって、食べ物のありかを見つけたり、パートナーを探したり、危険を察知したりする重要な手がかりです。さらに人間においては、料理の香りを楽しんだり、香水をまとってコミュニケーションを円滑にするなど、暮らしを豊かに彩る要素でもあります。
今回のセミナーは、ヒトの嗅覚の脳機能を研究されている岡本先生からお話を伺います。
1.日時:2025年5月10日(土)14:00~16:45
2.会場:品川区総合区民センター(きゅりあん)4F 第3講習室
JR大井町駅東口前 https://www.shinagawa-culture.or.jp/curian/access.html
☆ WEB(ZOOMオンライン)参加も可能です。
3.講演概要:
香りと言うと、何を思い浮かべるだろうか。花の香り、香水、あるいは料理の香ばしい匂いを思い浮かべる人も多いだろう。実際、香りは食べ物を楽しむ上でも重要な役割を果たしている。私たちが「味」として認識しているものの多くは、実は食べ物の香りが口の中から喉の奥を通って感じられることによるものである。もし香りがなければ、リンゴジュースとオレンジジュースとの違いを識別することは難しく、ただ甘みを感じるのみであろう。風邪をひいた際に食べ物の「味」をあまり感じないと思うのも、香りを十分に認識できなくなるためである。
また、香りは単なる感覚にとどまらず、社会的なコミュニケーションにも深く関わっている。例えば、私たちの体から発せられる匂い、すなわち体臭は、エチケットの観点から消臭されるべきものと考えられる一方で、個体の情報を伝える役割も果たしている。他者に安心感を与えたり、人間関係における「相性」を判断する一因となるとさえ言われる。
香りの正体は揮発性の化学物質であり、それが人間の場合、約400種類存在する嗅覚受容体と結合することで、私たちは匂いを感知する。嗅覚受容体をコードする遺伝子は遺伝的な多型が多いことでも知られており、匂いの感じ方の個人差の一因になっていると考えられている。嗅覚受容体は嗅神経に発現し、その信号は脳へと送られるが、嗅覚は視覚、聴覚、味覚、触覚といった五感の中で唯一、視床を経由せずに大脳へ直接伝わるという特徴を持つ。視床は、感覚入力を体の状態に応じて調整する働きを持ち、特に睡眠中には視床の機能によって感覚入力が抑制され、深い睡眠が維持されると考えられている。しかし、上述の通り、嗅覚の入力は、視床を中継せずに脳に届くため、嗅覚に関しては視床の関与は他の感覚とは異なると考えられる。このほか、嗅神経が投射する脳の領域には、睡眠・覚醒や食欲に関わるホルモンの受容体が多く発現しているという特徴もある。このような脳の構造的特性は、香りが食欲を高めたり、一部の香りが安眠効果をもたらすとされたりする要因の一つである可能性がある。しかし、その具体的な仕組みについては、未だ解明されていない点が多い。
本セミナーでは、香りの持つ多様な働きと、それがどのように受容され、脳で処理されるのかについて、これまでの知見を紹介する。普段、何気なく感じている「香り」に改めて目を向け、嗅覚という感覚の役割やその不思議について考えるきっかけとなれば幸いである。
4.講師略歴:
京都府城陽市生まれ。京都大学大学院 農学研究科食品工学専攻 修士課程修了(1998)、(社)農林水産先端技術研究所 (1998-2002)、(独)食品総合研究所(2005-2010)、 博士号取得(論文博士・京都大学)(2005)、 帯広畜産大学 特任准教授(2010-2013)、東京大学 特任准教授(2013-2023)、東京大学 准教授(2023~)
【専門分野】 生活科学、味・嗅覚に関わる心理・脳科学
【主な学協会等の活動】 日本味と匂学会、日本神経科学会
【主な著書・論文など】
・Kato et al., Spatiotemporal dynamics of odor representations in the human brain revealed by EEG decoding PNAS 2022
・「質感科学ハンドブック」 1章11節 「質感認知の脳神経機構-嗅覚」 東京大学出版会
・「生き物と匂い・フェロモンの事典」(東原和成, 新村芳人, 吉原良浩, 横須賀誠, 菊水健史, 岡本雅子編)朝倉書店
5.参加費:事前にPeatix(WEBチケット)でお求め下さい。
・ STF正会員(WEB参加): 500円
・ STF正会員(会場参加): 無料(要申込)
・友好団体会員/メンバー(会場/WEB): 1,000円
異普奇会、 経営支援NPOクラブ、 小石川後楽園庭園保存会、
J-SCSORE、 次世代農業フォーラム、 シニアエキスパートフォーラム(SEF)、
テクノメイトコープ(TMC)、 BCC-NET、 表界研 など
・学生、当セミナー元講師:(会場/WEB): 1,000円
・一 般(会場/WEB): 1,500円
【Peatixの利用法】https://stf.or.jp/top/images/file/m517.pdf
上記URLを参照し、アカウント取得(登録)手続きをした上でお申込み下さい。
Peatixのパスワードを忘れた方 ⇒ https://stf.or.jp/top/images/file/m631.pdf
なお、Peatixが利用できない(or操作不明な)方は、担当までご相談下さい。
6.参加申込の方法:
・期限内に下記URLからお申し込みください。
https://peatix.com/event/4351685/
・事前申込ない方の当日の会場(飛び込み)参加はできません。
・申込締切:クレジットカード払い→5月7日(水)24時、
コンビニ/ATM (ゆうちょ銀行・ペイジーなど)払い〔手数料負担願います〕→6日(火)。
・申込確認ができた方へ順次受付メールを送ります。
・ZOOM ミーティングのURL、パスコード、手元資料等の案内は、前日9日(金)までに事務局からメール配信されます。
・領収書の必要な方⇒ https://stf.or.jp/top/images/music/m380.pdf
※ 講演中の画面撮影や録音などは、ご遠慮願います。
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NPO法人 科学技術者フォーラム(STF)
5月度セミナー担当: 碇 貴臣
E-mail: takaikar@eos.ocn.ne.jp
Mobile: 080-4215-8390
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