第74回 見学会報告「キリンビール取手工場」(2023年10月)
2023年 12月 02日2023年10月12日(木)14:30~16:00
見学先:キリンビール取手工場
STF参加者:計9名
1.キリンビール株式会社・取手工場概要
(1)同社・取手工場は茨城県取手市にあり、取手工場は同社最大の工場である。
(2)同工場の主力製品はビール「一番搾り」である。
(4)同社は1907年(明治40年)設立、取手工場は1970年に創立。
2.見学会内容
(1)麦芽を煮沸、糖化する巨大な釜を見学。
釜について、以前は銅製だったが、銅を打ち出すことができる職人の数が減ったことにより、現在はステンレス製となっている。
(2)糖化された麦汁にホップを加えることで、ビール独特の苦みと爽やかさが加わる。
(3)麦芽を煮沸、糖化する工程は11時間程度である。
(4)ホップを加えた麦汁を巨大な発酵タンクで発酵させる。
取手工場には合計139基の発酵タンクがあり、1週間掛けて発酵させる。
発酵タンクに入れた酵母が麦汁の糖分を食べ、アルコールと二酸化炭素を生成する。発生した二酸化炭素がビールの泡のもととなる。
(5)さらにタンクでの熟成に1ヶ月~2ヶ月掛ける。
(6)麦芽を煮沸・糖化後、搾った最初の麦汁が一番搾り麦汁、お湯を足してさらに搾った麦汁が二番搾り麦汁である。
(7)一番搾り麦汁と二番搾り麦汁の試飲をさせてもらったが、一番搾り麦汁は濃い茶色でドロッとした粘着性がある、二番搾り麦汁は薄い茶色で粘着性は無く、サラッとしている。
二番搾り麦汁も甘いが、一番搾り麦汁はより甘さが際立つ。
(8) ビール「一番搾り」は、この一番搾り麦汁だけで作っている。
このため一番搾り麦汁と二番搾り麦汁をブレンドして作るビールよりもうまい。
(9)熟成後は瓶や缶に詰めて製品となる。
(10)製品となったビールは製品倉庫に入れて、順次出荷される。
ビールが製品倉庫に入れた段階で課税される。
(11)見学会の最後に、「一番搾り」の試飲がある。
特製のビアグラスにブルワリードラフトマスターが一杯ずつ丁寧に注いだ「一番搾り」
は実にうまかった。
(12)その後、「一番搾り」「一番搾り・プレミアム」「一番搾り(黒)」の飲み比べがあった。
黒ビールは、通常よりも長い時間、焙煎した麦芽から作られる。
「一番搾り・プレミアム」は日本産ホップ(「一番搾り」はドイツ、チェコ産)を使用しており、アルコール濃度は少し高いが、色合いは「一番搾り」と似ている。
3.質疑応答
(1)試飲のビールは課税対象となっているのか。
⇒試飲のビールは製品倉庫から出荷したものなので、課税されている。
(2)「一番搾り」は一番搾り麦汁だけで製造するので、一番搾り麦汁と二番搾り麦汁をブレンドして作るビールよりも、製造コストは掛かっているように思うが、製品の販売価格は同じなのはなぜか。
⇒確かにコストは一番搾り麦汁だけで製造するので、それだけコスト増にはなるが、営業戦略上そのようにしている。
【作成 角野章之】