2024年5月度セミナー#253「AI技術に基づく絵師の流派推定」
2024年 03月 20日科学技術者フォーラム(STF) 2024年5月度セミナー(第253回)のご案内
AI技術に基づく絵師の流派推定
https://stf.or.jp/top/images/file/m626.pdf
(株)分子ロボット総合研究所 代表取締役
東京工業大学名誉教授、恵泉女学院大学客員教授
博士(工学)小長谷 明彦 氏
2024年は「源氏物語」がブームです。東京富士美術館では本年3月24日まで日本各地から源氏絵に関する名品を集めた「源氏物語展」が開催されました[1]。「源氏物語展」には、平安京、六条院、春の御殿を鳥観図的に統合した「VR六条院」および源氏物語図屏風を灯明の光で鑑賞することを可能とした「VR源氏物語図屏風」などが展示され、好評を博しました。
5月度STFセミナーは、それらのVR展示物の編集に関与した小長谷先生からAI技術に基づく絵師の流派推定の研究について興味深いお話を伺います。
1.日時:2024年5月25日(土)14:00~16:45
2.会場:品川区総合区民センター(きゅりあん)4F 第1特別講習室
JR大井町駅東口前 https://www.shinagawa-culture.or.jp/curian/access.html
☆ WEB(ZOOMオンライン)参加も可能です。
3。講演概要
本題の「AI技術に基づく絵師の流派推定」は、VR六条院やVR源氏物語図屏風と共に、科研費「オントロジーに基づく源氏絵データベースを共有・活用した源氏絵の総合研究」(代表:稲本万里子,2017-21年)の一環として行われた文理融合研究の成果である[3]。
AIによる流派推定の研究では、源氏絵に登場する貴人の顔画像の特徴を深層学習モデルで学習させることにより、幻の「源氏物語絵巻」の絵師の流派を客観的に推定することを目指した。幻の「源氏物語絵巻」は、絵師の流派に関して美術史研究者の間でも土佐派、狩野派、町絵師かで長年論争が続けられており、それ故に「幻の」という呼び名がつけられている。AIは果たして人間の認知能力を超えて正しい流派を推定してくれるのか?結論から述べると、最終的にこの研究から導かれた答えは、美術史研究者が「流派」と呼んでいる概念は必ずしも普遍的なものではなく、AIは幻の源氏物語絵巻がどの作品に近いかは判定できても、作品を「流派」として正しく分類することは難しい、ということであった。
このような結論が導かれた背景として、徳川幕府の誕生と共に京に残った京狩野と江戸に下った江戸狩野の間にすでに画風の違いがでていること、また、版本の普及により絵師が様々な作品を目にする機会が増え、伝統的な画風からの逸脱や古典への回帰が試された可能性も否定できない。本講演では、このような結論を導くために、専門家が持つ暗黙知とAIが導出した形式知の間での知識スパイラルが有用であったことに言及する。
[1] https://artexhibition.jp/topics/news/20240225-AEJ1888007/
[2] https://www.jstage.jst.go.jp/article/isciesci/66/7/66_256/_article/-char/ja/
[3]稲本・加藤・小長谷:深層学習による「幻の源氏物語絵巻」の流派推定に関する考察, 人工知能学会論文誌, https://doi.org/10.1527/tjsai.36-6_F-L12
4.講師略歴: https://konagaya-lab.sakura.ne.jp/
東京都生まれ。1980年東京工業大学理工学研究科 情報科学専攻修士修了。NEC入社。北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科・教授、理化学研究所ゲノム科学総合研究センター・プロジェクトディレクターなどを経て、2009年東京工業大学・教授、2019年東京工業大学・特任教授。
【専門分野】 分子ロボティクス、分子ロボット倫理、生命情報学、高性能計算、
【主な学協会等の活動歴】 NPO法人情報計算科学生物(CBI)学会・理事長 など
【主な受賞歴】 人工知能学会論文賞(2022),人工知能学会全国大会優秀賞「一般セッション口頭部門(2018), 日本応用数理学会ベストオーサー賞(2015), 日本シミュレーション学会論文賞受賞(2007), Distinguished paper award in Euro-Par2006 conference(2006), 情報処理学会論文賞(1999)
【主な著書】 バイオ情報学-パーソナルゲノム解析から生体シミュレーションまで, コロナ社 (2009) など
5.参加費: 事前にPeatix(WEBチケット)でお求め下さい。
・ STF正会員(WEB参加): 500円
・ STF正会員(会場参加): 無料(要申込)
・友好団体会員/メンバー(会場/WEB): 1,000円
異普奇会、経営支援NPOクラブ、小石川後楽園庭園保存会、
サポート技術士センター、次世代農業フォーラム、シニアエキスパートフォーラム、
テクノメイトコープ(TMC)、 BCC-NET、 表界研 など
・学生、当セミナー元講師:(会場/WEB): 1,000円
・一 般(会場/WEB): 1,500円
【Peatixの利用法】 https://stf.or.jp/top/images/file/m517.pdf
上記URLを参照し、アカウント取得(登録)の手続きをした上でお申込み下さい。
なお、Peatixの利用ができない(or操作不明な)方は担当までご相談下さい。
6.参加申込の方法
・期限内に下記URLからお申し込みください。会場「無料」参加のSTF正会員も同様です。
https://peatix.com/event/3882698/
・事前申込ない方の当日の会場(飛び込み)参加はできません。
・参加申込は、クレジットカード払いの場合、5月22日(水)24時、コンビニ/ATM (ゆうちょ銀行・ペイジーなど)払い〔手数料ご負担願います〕の場合、21日(火)で締め切ります。
・申込の確認ができた方へは、順次受付メールを送ります。またZOOM ミーティングのURL、パスコード、手元資料等の案内は前日24日(金)までに事務局からメール配信されます。
・領収書の必要な方 https://stf.or.jp/top/images/music/m380.pdf
※ 講演中の画面撮影や録音などはご遠慮願います。
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NPO科学技術者フォーラム(STF)https://stf.or.jp/
5月度セミナー担当 碇 貴臣
E-mail: takaikar@eos.ocn.ne.jp
Mobile: 080-4215-8390
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