第238回セミナー報告「予測不能な大変化時代 突破のためのヒント~マーケティングの発想から~」2023年1月
2023年 01月 26日科学技術者フォーラム2023年1月度(第238回)セミナー報告
「予測不能な大変化時代 突破のためのヒント~マーケティングの発想から~」
日 時:2023年1月14日(土) 13:30~16:15
会 場:品川区中小企業センター3F大会議室+ZOOMオンライン
参加者:28名(会場12名、WEB16名)
講演者:(株)三百 代表取締役 望月 雅之氏
【講演要旨】
1.世の中の変化・動向
1)社会生活:少子高齢化、SDGs、脱グローバル、安全認識、地方再生
2)科学技術:Society5.0、スマホ、ネットワーク、システム化、AI・ロボティクス
3)ビジネス:両利き経営、クラウド経営、ESG経営、レジリエンス、個人事業化
4)人:多様性、ライフワークバランス・生活優先、デジタルネイティブ(Z世代)
2.基本的認識
1)世の中の変化に素早く準備できた者のみが生き残れる。
2)ビジネスとして成功する優れた商品/サービスとは、What、How to(伝え方/提供方法)、What for(生活者)を考慮したもの。
3)事業を取り巻く環境には、社会・経済、科学・技術、ビジネス、生活・くらし、人(生活者)、人(働き方)、当該業界、当該領域等があり、それらは大きくかつ変則的に急変化する。
3.変化時代の考慮
1)事業環境の変化を認識し、忠実力/最適力の時代から変革力/挑戦力の時代に切り替えるべきである。また一緒になって提案できる仲間を必要とする。
2)What for が大切であり、Fantastic Future=魅力的なゴールであるビジョンを構築すべきである。それを実現するためにはブレークスルーとなる新技術を必要とする。またビジョンの構築のためには利益設定(楽しさ、絆、ふれあい、共感、やりがい、昇進、報酬、成長、ビジョン達成等)が重要である。
4.変化状況への対応
1)世の中の変化を常に察知する体制・体質の構築
2)成功体験の延長ではなく、本質面からの考慮
3)バックキャスティング(未来像から現状へのフィードバック)導入
4)変化への強靭性/対応性(レジリエンス)の具備
5)変化の影響を受ける各所における、ビジョンに基づく自律的判断と行動の実施
5.今後の働き方
1)少子高齢化、社会生活の加速度的変化により、働き方改革が要求されている。そのために、終身雇用が難しくなり、成長産業へのjust in timeでの人材移動が求められる。その結果、正社員が減り、期間限定の契約社員が増加するだろう。一方では、クラウドソーシングが要求される、あるいはネット利用した設計、委託製造、販売を行う個人経営の自動車会社等が設立されるかもしれない。
2)未来は与えられるものではなく、ビジョンイメージを明確にして切り開いて実現されるものである。見えないモノ・コトを少しでも見えるようにしてリスクを最小化し、変化への対処/未来への備えを有して、将来に対しあるべき姿から逆算したイノベーションを行うべきである。
3)スティーブジョブスの言:stay hungry、stay foolish
【主な質疑応答】
Q1: 世の中の変化への対応は?
→難局を乗り越えるためにはビジョンを形成することが望ましい。
Q2:成功体験例は?
→スーパーマーケットでの棚取り事例、あるいは現在取組中の自動車会社での事例。
Q3:現状変革の突破口は?
→技術者をどのような形で育てるかが大切である。また技術者をまとめるためは、フリーディスカッションによりテーマを設定し、問題意識をマップ化する必要がある。
Q4:変革とは?
→周囲を変える以前に、自分を変えることが重要である。
【所感】
日本企業が低迷している中でも、多数の中小企業が公的助成金などを利用して、鋭意、高性能な製品の開発、および省エネ・高効率に優れる設備の導入を行い、厳しい環境においても何とか企業を維持しようと奮闘しています。しかし、激しく変化する事業環境を正しく捉えて効果的なビジョンを掲げているとは必ずしも言えないケースがあります。
『日本の難局を切り開くためには、“人の力”:「挑戦力」、「突破力」、「打開力」を高めるのみであり、目の前の課題に挑戦している人と出会い、役に立ちたい』という講演者の考えはそのように懸命に努力をしている企業には大変心強いものだと思います。そうした企業に本ご講演で語られた活動内容を知らせたいと思います。
【報告者:木村芳一】