科学技術者フォーラムH30年10月度セミナー案内「農業と環境の調和をめざして〜日本とEUの農業環境政策を概観する〜」#196
2019年 01月 01日科学技術者フォーラムH30年 10月度セミナー(第196回)のご案内
「農業と環境の調和をめざして
〜日本とEUの農業環境政策を概観する〜」
佐藤洋平(さとうようへい)東京大学名誉教授(農学博士)
一般社団法人 農業土木事業協会 会長
一般社団法人 フードビジネス推進機構 代表理事
環境については我々が快適な生活をして行くために、是非とも考えていくべきテーマだと思います。
佐藤先生には農業環境政策への取り組みについて歴史を追って説明して頂くとともに、日本とEUの農業の環境に対する考え方についての違いも説明して頂けると思います。
セミナーに参加される皆様には、農業の環境に対する位置づけを、もう一度深く考える材料にして頂ければ、セミナー担当としては幸せです。
1.日時:平成30年 10月20日(土) 14:00 〜 16:50
講演終了後近くの会場で参加者の懇親を目的に懇親会開催します(19時頃まで)。
2.会場:品川区立総合区民会館「きゅりあん」4F第1特別講習室
(JR大井町駅中央改札出て左直進、ヤマダ電気裏側)
地図:http://www.shinagawa-culture.or.jp/curian/
3.講演要旨
I 環境と調和する農業−EUの農業環境政策から−
農業と環境との調和を図る農業環境政策がEU(1993年11月から。それ以前はEC)において行われるようになった社会的背景について若干述べた後に、EUにおける農業環境政策についてその流れを追いながら概説する。
深刻化する地球環境問題、工業化による豊かな社会の実現、農産物の供給過剰問題などを背景に始められた農業と環境との調和を図る政策の嚆矢は、1975年の山岳地等条件不利地域対策において、環境の維持管理に貢献する農業を奨励することを当該対策の目的の一つに加えたことにある。
その後、1985年理事会規則において環境保全に関する措置(ESA)を構造政策に取り入れることとなり、さらに、1992年における共通農業政策(CAP)の改革によって、それまで実施されてきていた農畜産物の価格支持政策を大きく見直し、支持価格の引き下げを断行し、その代償措置として直接支払制度を導入した。またこの改革において、環境政策と農業政策の一体化を進め本格的に農業環境政策への取り組みを開始した。
上記EUにおける農業環境政策の枠組みのもとに具体の実施は各国の実情に即して実施される。本報告では、英国とオランダの実施について、それぞれ、ESA(環境保全優先地域)計画、EA(環境スチュワードシップ)計画を英国の事例に、relatie nota(関係白書)のもとに開始された管理協定をオランダの事例として、紹介する。
II 農業の公益的機能と日本における農業環境政策
日本における農業環境政策の実施はEUに比べて15年程度の遅れをとっている。ECで1975年に開始された条件不利地域対策と類似の対策である中山間地域等直接支払が日本で開始されたのは2000年であるので、25年の遅れがみられるが、これによって日本では初めて直接支払が導入されたことは括目してよいであろう。
農業環境政策におけるEUと日本とでの根本的相違は、EUが農業は環境に負荷を与えていることを前提において政策の体系を築いていることに比し、日本では、どちらかというと、国土保全、自然環境の保全など農業の公益的機能を前提に置いていることにある。この相違は畑作農業と稲作農業という農業形態の相違から来ているものと思料されるし、国土面積に占める農地面積の割合の大小とも関係しているであろう。
1999年7月に施行された食料・農業・農村基本法において初めて国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観の形成など多面的な機能を適切かつ十分に発揮することの必要性を謳った。
この基本法の枠組みのもとに創設された農地・水・環境保全向上対策、中山間地域等直接支払、さらに、土地改良法の改正について、また、農地・水保全管理支払交付金および中山間地域等直接支払を2014年6月に法制度化した農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律について紹介する。
滋賀県における農業環境支払の施策は、国における農業環境政策を先導したといっても過言ではない。時間が許せば、その概要を紹介する。
4.略歴:
学歴
昭和42年 東京大学農学部農業工学科卒業
昭和44年 東京大学 農学研究科修士課程 農業工学専攻 修了
昭和47年 東京大学 農学研究科博士課程 農業工学専攻 修了 農学博士
職 歴
昭和47年 東京大学農学部助手
平成54年 宇都宮大学助教授(農学部)
昭和55年 筑波大学助教授(社会工学系)
平成7年 筑波大学教授(社会工学系)
平成8年 東京大学教授(大学院農学生命科学研究科)
平成10年 東京大学生物・環境工学専攻長
平成11年 東京大学評議員
平成16年 東京大学定年退官、東京大学名誉教授
同 東京農業大学教授(国際食料情報学部)
平成17年 独立行政法人農業環境技術研究所理事長
平成23年 同 退任
平成27年 (一社)農業土木事業協会会長、 (一社)フードビジネス推進機構代表理事 現在に至る。
その他
武漢測絵科技大学(現、武漢大学)名誉教授、CIGR(国際農業工学会)国際アカデミー・フェロー、日本農業工学会フェロー。
日本学術会議会員、農業農村工学会会長、農村計画学会会長、日本環境共生学会副会長、PAWEES(国際水田・水環境工学会)会長、CIGR副会長、CIGR理事、食料・農業・農村政策審議会委員(農業農村振興整備部会座長)、独立行政法人農業環境技術研究所理事長、財団法人農村整備総合情報センター理事長、NPO中山間地域フォーラム会長などを歴任。現在、ICID(国際かんがい排水委員会)日本国内委員会代表。
受賞歴:
農業土木奨励賞、CIGR功績賞、農業土木学会学術賞、CIGR優秀賞、国際水田・水環境工学会国際賞、農業農村工学会著作賞
5.参加費 下記、会場でお支払いください。
6.参加申込:下記の申込書に記入して、セミナー担当の碇貴臣宛メールでお申込みください。
E-mail:ik-3780@trust.ocn.ne.jp
*尚、講演中の写真撮影などは、ご遠慮願います。
*************セミナー参加申し込み ***************
<科学技術者フォーラム(STF)平成30年10月度セミナー(第195 回)参加申込書>
●お名前: (ふりかな: )
●所属(会社,事務所、団体):
●メールアドレス:
●TEL: FAX:
●参加区分:
・科学技術者フォーラム(STF)正会員、学生 1,000円
・BCC-NET会員、NPO-BIN会員、経営支援NPOクラブ会員、異普奇会会員、生体環境保全交流会会員、千葉県加工技術研究会会員、表界研会員、BEST-JAPAN研究会、NPOエルダーシステム、その他の友好団体 1,500円
・一般(紹介者: ) 2,000円
●懇親会:参加 不参加 (いずれか残す)
●領収書(講演会)の必要有無: 有 無 (いずれか残す)