科学技術者フォーラムH28年1月度セミナー報告「中国のイノベーション・システムと日本企業の中国における研究開発・知財創出」
2016年 02月 09日H28年1月度(第163回) セミナー報告
1.日時 :2016年1月16日(土) 14:00〜16:45
2.場所 :品川区立総合区民会館「きゅりあん」 5F 第2講習室
3.参加者: 49名
4.題目:「中国のイノベーション・システムと
日本企業の中国における研究開発・知財創出」
5.講演者: 横浜国立大学大学院環境情報研究院 教授 学術博士 近藤 正幸 氏
<講演要旨>
・グローバル化は避けようがない。
要因として情報通信技術の発達、旅客・貨物輸送技術の発展、機関としてWTO、協定
としてFTAやEPAによる制度的な制約の低減があり、市場獲得、資源獲得(頭脳資源も
含む)等の目的のため今後もグローバル化はますます進展する。
・日本企業も生産だけではなく研究開発についてもグローバル化してきている。
立地拠点として最も多いのが中国である。
・成功事例として
*パナソニックのエアコン(キューブ)特にパナソニックのインド市場向け専用モデル
インド(営業)、マレーシア、日本の3箇所体制で生産・開発拠点があったマレーシアのインド系の工場長がマネージしたのがポイント。
・中国ナショナル・イノベーション・システム(NIS)
日本とは異なる。
国家発展改革委員会が頂点。
公的研究機関(中国科学院等)、大学は市場経済化の流れの中で、政府資金が先細りになるため自活せざる負えない産学官連携に熱心。
大学と政府が連携して総合的な支援をして大学発・研究所発のベンチャーを自立させていく。
中国の大学発・研究所発のベンチャーは研究機関、大学がかなり所有している。
また中国の場合技術が現物出資と見なされ、研究開発者に資金がなくても株主なれる。
大学・研究所が所有権を有しない日本でいう大学発・研究所発のベンチャーは統計に表れないが数多くあると推測される。
<質疑>
・日本の大学初ベンチャーがなぜ中国みたいに進まないのか?
→ 大企業・政府がベンチャーから製品を調達しない点が大きいのではないのか。
実績がないとダメ。
大学が自分も出資しているので応援の仕方が違う。地方政府の支援もある。
人材の集まり方が違う。日本は優秀な学生がベンチャーに入ったり、起業するこ
とが少ない。日本の場合は企業発のベンチャーの方が良いかもしれない。
・日本企業が中国人を使ってうまくやるにはどうしたら良いか?
中国に投資はすれども特許は少ない。
→ 中国人、日本人を適性によって使い分けて中国向けの仕様開発をさせるのが良いのではないか。
以上
(記録者 山崎茂)