科学技術者フォーラムH27年8月度セミナー案内「ナノセルロースの基礎と新展開」
2015年 07月 06日科学技術者フォーラムH27年 8月度セミナー(第158回)のご案内
「ナノセルロースの基礎と新展開」
東京大学 大学院農学生命科学研究科 教授 磯貝 明
http://psl.fp.a.u-tokyo.ac.jp/
セルロースは地球上で最大量年間生産量、蓄積量のバイオマスです。また、温暖化防止のために求められている循環型社会の構築等には再生産可能なセルロースの質的・量的利用の拡大が求められています。
今回の講演では、セルロースの高機能化として、磯貝研究室で開発されたTEMPO酸化セルロースナノファイバー(TOCN)を中心に報告して頂きます。
TOCNの水分散液を乾燥して得られる透明フィルムは、高強度、低線熱膨張率で、極めて高い酸素バリア性を示します。また、引張破断強度は高強度ケブラーと同等、鋼鉄に比べて重量で1/5、強度は約5倍の素材であり、様々な応用が考えられています。
バイオ系ナノ材料関連、各種無機および有機系ナノ複合材料、環境適合材料、触媒関係、高機能包装用フィルム等に興味を持っていらっしゃる方には有意義な講演だと考えます。
尚、先生は本年9月に森林関連分野のノーベル賞にあたるマルクス・ヴァーレンベリ賞を日本人で初めて受賞されるそうです。
興味のある方は是非参加して下さい。
1.日時:平成27年 8月29日(土) 14:00 〜 16:50
講演終了後近くの会場で参加者の懇親を目的に懇親会開催する予定です。(19時頃まで)
残念ながら、懇親会への講師の先生の参加は1時間弱となります。
2.会場:品川区立総合区民会館「きゅりあん」5F 第4講習室
(JR大井町駅中央改札出て左直進、ヤマダ電気裏側)
地図:http://www.shinagawa-culture.or.jp/curian/
3.講演要旨:
地球上で最大量のバイオマスであるセルロースは、脱石油、二酸化炭素削減、循環型社会基盤の構築に期待されており、セルロースの質的・量的利用の拡大が求められている。
当研究室では、直鎖状セルロース分子鎖30〜40本が規則的に束ねられた幅3nmの「セルロースミクロフィブリル」を1本単位のTEMPO酸化セルロースナノファイバー(TOCN)に、低解繊エネルギーで分離分散させることに成功した。TOCNの引張破断強度を測定したところ、約3GPaで、高強度ケブラーと同等、鋼鉄に比べて重量で1/5、強度は約5倍であった。また、引張弾性率は約140GPaに達した。
TOCNの水分散液は透明で、互いに荷電反発したTOCNが自己組織化し、液晶状のクラスターを形成しているため、TOCN分散液をキャスト−乾燥して得られる透明フィルムは、高強度、低線熱膨張率で、極めて高い酸素バリア性を示す。一方、TOCNヒドロゲルから超臨界点乾燥で得られる透明エアロゲルは、シリカエアロゲルと同等の断熱性を示しながら、高強度を有している。また、三酢酸セルロース(TAC)、ポリ乳酸(PLA)、ナノクレイ、ポリビニルアルコール(PVA)、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、H-NBR、各種金属ナノ粒子との複合化により、優れた複合効果と機能を発現した。再生産可能な植物資源から、先端部材に応用展開可能なバイオ系ナノ材料の多分野への利用が期待される。それらの基本的製造方法、特性・機能について講演する。
参考:「植物バイオマスを先端ナノファイバーに変換」 現代科学 2014年12月号 P44〜49
4.経 歴
学内
1980:東京大学農学部卒業
1985:東京大学大学院農学系研究科博士課程修了(農学博士)
1985-1986:米国IPC化学科博士研究員
1986-1994:東京大学農学部 助手
1989-1990:米国農務省林産物研究所客員研究員
1994-2003:東京大学 助教授
2003-:東京大学 大学院農学生命科学研究科教授
学会等
セルロース学会会長(2013-)
紙パルプ技術協会理事、木材科学委員長(2003-)
機能紙研究会理事(2008-)
国際木材科学アカデミー フェロー(2006-)
マルクス・ヴァーレンベリ賞 受賞(2015)
5.参加費 会場でお支払いください。
・科学技術者フォーラム(STF)正会員,学生 1,000円
・BCC-NET会員、ティー・エムレポート会員、経営支援NPOクラブ会員、NPO-BIN会員、
異普奇会会員、生体環境保全交流会会員、千葉県加工技術研究会会員、表界研会員、
BEST-JAPAN研究会、NPOエルダーシステム、その他友好団体会員 1,500円
・一般 2,000 円
*講演中の写真撮影などは、ご遠慮願います。
6.参加申込:下記の申込書に記入して、セミナー担当の碇 貴臣 宛メール又はFAX
でお申込み下さい。
碇 貴臣 TEL&FAX:052-833-4035
E-mail:ik-3780@trust.ocn.ne.jp
*************セミナー参加申し込み ***************
<科学技術者フォーラム(STF)平成27年 8月度セミナー(第158回)参加申込書>
●お名前: (ふりかな: )
●所属(会社,事務所、団体):
●メールアドレス:
●TEL: FAX:
●参加区分:
・科学技術者フォーラム(STF)正会員、学生 1,000円
・BCC―NET会員、NPO−BIN会員、ティー・エムレポート会員、経営支援NPOクラブ会員、異普奇会会員、生体環境保全交流会会員、千葉県加工技術研究会会員、表界研会員、
BEST-JAPAN研究会、NPOエルダーシステム、その他の友好団体 1,500円
・一般(紹介者: ) 2,000円
●懇親会:参加 不参加 (いずれか残す)
●領収書(講演会)の必要有無: 有 無 (いずれか残す)