H27年1月度セミナー案内「低炭素社会の構築のために」〜太陽光発電とLED照明〜
2014年 12月 20日科学技術者フォーラムH27年1月度セミナー(第151回)のご案内
*低炭素社会の構築のために*
* 〜太陽光発電とLED照明〜*
芝浦工業大学・名誉教授 長友 隆男 氏
スマート社会実現にはクリーンなエネルギー源と節電技術が必要不可欠となっています。
中でも無尽蔵な太陽のエネルギーを取り出す太陽光発電と、従来の白熱電球や蛍光灯に比べて遥かに低消費電力なLED
は低炭素社会の柱となる日本が誇る重要技術です。
今回、この分野も含め、導電性高分子材料などの機能デバイスの研究開発に多大な貢献をされた
芝浦工業大学・名誉教授の長友隆男様に、特に、太陽電池とLEDについて、解説頂きます。
先生は、青色LEDについても新材料を発見し、ノーベル賞受賞者と共にこの分野でも、大きな研究貢献を果たしております。
尚、先生の紹介は大学同窓生でSTF会員の(株)ゼオシステムの下川社長によるものです。
1.日時:平成27年1月24日(土) 14:00 〜 16:45
講演終了後近くの会場で講師を囲んで懇親会開催(19時頃まで)
2.会場:品川区立総合区民会館「きゅりあん」5F第3講習室
(JR大井町駅中央改札出て左直進、ヤマダ電気裏側)
地図:http://www.shinagawa-culture.or.jp/curian/
3.講演要旨
<第1部 太陽電池>
(1)電気エネルギーをつくる
(2)太陽電池開発の背景
(3)太陽電池の種類と特徴
(4)太陽光発電システムの導入(スマートグリッドの構築)
(5)太陽光発電の優位性と課題
<第2部 発光ダイオード(LED)>
(1)「あかり」の歴史と発光メカニズム
(2)LEDの発光メカニズム
(3)GaNおよびGaInN単結晶薄膜の作製
(4)短波長(青色、紫色)LEDと白色発光LEDの開発
(5)LEDの省エネ効果と課題
化石燃料に依存しない新エネルギー源の研究開発を進めるために“サンシャインプロジェクト”が1974
年にスタートし、太陽光エネルギーの有効利用は大きな課題の一つであった.太陽光発電では、(1) 太陽電池用低コストシリコン基板製造技術の開発、(2)
接合およびセル構造の改善による高効率化と低コスト化、(3) 標準化、自動化および周辺技術の確立などの研究開発が進められた.
SnO2/n-SiおよびITO/n-Siヘテロ接合太陽電池に関する研究に着手した.
この系の太陽電池は、?太陽光の利用効率が高いこと、?低温プロセスが可能、?低コスト化が図れるなどの利点をもつが、ヘテロ接合であるので接合部に界面準位が存在し、光電流の減少やショットキー効果による開放電圧の低下などの欠点があった
.シリコン表面に15Å程度の極薄いシリコン酸化膜を形成し、光電流を損なうことなく障壁の高さの低下を防ぎ、高効率の太陽電池を得ることができた.
LEDの分野では、1980年代半ばに、MOVPE法を用いてサファイア基板上に低温で作製したGaNバッファ層を堆積させ、その上に極めて良質のGaN
膜を堆積させることができた.これはサファイア基板とGaN膜の間の格子不整合(〜17%)が低温バッファ層の堆積によって緩和されたことによる.
As-grownのGaN膜はn形で、Si等をドープすることによって抵抗率の制御を行う.p形GaN膜はMgやZnをドーピングし、電子ビーム照射や600
℃程度での熱処理によって得られる.20世紀中は不可能と言われた紫や青の短波長側のLEDやLDを手に入れることが出来た.
?族窒化物半導体は結晶成長に難しいところもあるが、p、nの価電子制御が出来、移動度が比較的大きく、安定した優れた半導体デバイス材料である.
LEDの出現は形や色において多彩なディスプレイを可能にして新たな「照明」を形成しつつある.道路交通信号もLED
に置き換わり、明るくシャープに青、赤、黄色を発光しており、自発光で鮮やかな信号を提供している.LEDは長寿命で、消費電力が少なく、LED
照明の普及によって大きな省エネルギー効果がある.LEDは低炭素社会の構築には極めて有効な照明用光源となる.
4.経 歴 http://researchmap.jp/read0116507/
・最終学歴:1968年3月 芝浦工業大学工学部通信工学科卒業
・学 位:工学博士(京都大学)1982年9月取得
・研究分野:電気‐光相互変換にかかわる材料およびデバイスに関連する研究に従事.
ナノ構造を含めて、窒化ガリウム系半導体、有機電界発光素子、薄膜太陽電池等に関する基礎研究に従事.
・職 暦:
1970年7月 芝浦工業大学工学部電子工学科助手に任用、専任講師、助教授を経て1990年4月教授に就任(2010年3月まで)
.電子・電気材料工学分野の講義と研究指導を行う.
1997年4月 芝浦工業大学・工学部長(2003年3月まで)
2003年4月 芝浦工業大学・副学長(2005年3月まで)
2003年6月 学校法人芝浦工業大学・理事
2006年6月 学校法人芝浦工業大学・理事再任 理事長(2009年6月まで)
2010年4月 芝浦工業大学シニア教授、芝浦工業大学名誉教授
2013年3月 芝浦工業大学シニア教授退任
・研究履歴:研究対象とした電気電子材料は時系列的に述べると、(1)透明電極として用いられている酸化インジウム(In2O3)や酸化錫(SnO2)の薄膜、
(2)次世代のエネルギー源として太陽光発電に欠かせない材料であるシリコン(Si)、(3)低価格を目指したアモルファス(非晶質)Si、(4)
発生した電気エネルギーを貯める二次電池用の電極材料としてポリアセチレン((CHx))、ポリ-3-メチルチオフェン(P3MT)などの導電性高分子材料、
(5)発光素子や電子デバイスに用いられる窒化物半導体(GaN, InN, InGaN)である。
透明電極は1970年当時フラットパネルディスプレイ(FPD)
が実用化されておらず、個別部品の電極であったが、低抵抗化と安定化を進めた。透明電極の光透過率が高いことを利用してSiと組み合わせて
SIS(Semiconductor-Insulator-Semiconductor)形
太陽電池の研究に取り組んだ。1980年頃、導電性高分子ポリアセチレン(CHx)を二次電池の電極材料として用いるプラスティック2
次電池の研究に着手した。研究をスタートさせるに当たっては、筑波大学の白川英樹先生にポリアセチレンの合成、米国・ペンシルベニア大学のHeeger先生、
MacDiamid先生にドーピングについてご指導いただいた(いずれも2000年にノーベル化学賞受賞)。導電性高分子の研究から発光デバイス(有機EL
)の研究を始めたのを機に、1987年に窒化ガリウム(GaN)の単結晶薄膜成長と価電子制御に関する研究に取り組んだ。名古屋大学の赤崎勇先生(2014
年ノーベル物理学賞受賞)は1965年頃から窒化ガリウムの研究を意識した(当時は松下電器産業・東京研究所)が、結晶成長が困難であった。名古屋大学に移り、
1985年にサファイア基板上に窒化ガリウムの単結晶薄膜を成長させることに成功した。長友らは1989年に青色発光層になる窒化インジウムガリウム
(InGaN)混晶膜のエピタキシャル成長に成功した。我々は、良質のGaNやInGaN単結晶薄膜が得られ、p, n
の価電子制御が可能になって青色や紫色の短波長の光を発光するLEDを手に入れることになった。
5.参加費 会場でお支払いください。
・科学技術者フォーラム(STF)正会員,女性、学生 1,000円
・BCC−NET会員、ティー・エムレポート会員、経営支援NPOクラブ
会員、NPO−BIN会員、異普奇会会員、生体環境保全交流会会員、
千葉県加工技術研究会会員、表界研会員、その他友好団体会員 1,500円
・一般 2,000 円
*講演中の写真撮影などは、ご遠慮願います。
6.参加申込:下記の申込書に記入して、セミナー担当の児山 豊 宛メールまたは
FAXでお申込ください。
TEL,FAX:03-3843-1670 E-mail:y.koyama@4306.bell-net.ne.jp
*******セミナー参加申し込み *****************
<科学技術者フォーラム(STF)平成27年1月度セミナー(第151回)参加申込書>
●お名前: (ふりかな: )
●所属(会社,事務所、団体):
●メールアドレス:
●TEL: FAX:
●参加区分:(該当するものに○印をつけてください)
・科学技術者フォーラム(STF)正会員、女性、学生
・BCC―NET会員NPO−BIN会員、ティー・エムレポート会員、経営支援NPOクラブ会員、異普奇会会員、生体環境保全交流会会員、千葉県加工技術研究会会員、表界研会員、その他の友好団体
一般(紹介者: )
●懇親会:参加 不参加 (いずれか残す)
●領収書(講演会)の必要有無: 有 無 (いずれか残す)