H26年7月度見学会報告2「サントリー武蔵野ビール工場」
2014年 07月 29日NPO法人 科学技術者フォーラム 平成26年7月度見学会報告(第二部)
1.見学日時:平成26年7月4日(金)15時30分〜16時30分
2.見学先:サントリー武蔵野ビール工場(所在地:東京都府中市矢崎町3-1)
3.見学者:49名
4.見学の概要
(見学会でのビデオ説明および現場説明のほか、サントリーHPを参考に補足)
4-1.サントリーの会社名およびサントリービールについて
現在はサントリーホールディング株式会社と云われている。1921(大正10)年に株式会社寿屋として設立されウイスキーのトップメーカとして知られてきたが、1963年にはサントリー株式会社と変更して、ビール業界へ本格参入した。1967年に「純生」を発売し、さらに、1989年にはモルツスーパープレミアムなどを発売したが、長く苦しい赤字の時代が続いた。しかし、21世紀に入り、2005年に天然水使用100%、二条麦芽100%および欧州産(チェコ)アロマホップ100%使用の「ザ・プレミアム・モルツ」を発売したところ、2008年には営業利益を出し、市場シェアも12.4%と初の業界3位に躍り出て、プレミアム・ビールのトップシェアーを獲得して現在に至っている。
4-2.サントリー武蔵野ビール工場見学
武蔵野ビール工場はサントリーの最初のビール工場としてビール醸造に適した天然水を探し求め、この地に1963年に建設した。この他にビール工場は利根川ビール工場、京都ビール工場および九州熊本工場があるが全て100%天然水仕込みでつくられている。
この工場でつくられているビールは、良質な天然水、良質な麦およびホップおよび徹底して味わいを追求した製法によりつくられた「ザ・プレミアム・モルツ」である。見学の途中で、原料の麦、ホップなどに直接手を触れたり、香りを嗅いだりしながら説明を受けた。
(1) 天然水:特定水源の地下水でろ過・沈殿・加熱殺菌以外の物理的・化学的処理をしない、地下深くから汲み上げた天然水を100%使用
(2) 麦およびホップ:麦は二条麦の麦芽にダイアモンド麦芽を加えて、ホップは香りの高い欧州(チェコ)のアロマホップを100%使用
(3) 製法:麦芽本来のうまみと深いコクのある味わいにするためのダブルデコクション製法とホップの香りを最大限引き出すアロマリッチホッピング製法
4-3..サントリーの環境活動
環境活動については環境マネジメントシステム(ISO14000)、地球温暖化防止対策(CO2排出量削減、省エネルギー)、汚染防止対策および資源の循環利用などを行っているが、ユニークな活動として天然水の森の保全事業を行っている。
天然水の森の保全事業の目的としては「工場で汲み上げる地下水よりも多くの水を生み出す森を育成する」。そのために社内に水科学研究所を設立し、工場で使う水源およびその面積などを調査研究により特定し、自治体や所有者にその森を守る方法を提案し、契約を結び施行を実施している。環境に負荷をかけることなく、持続的に地下水を利用するための環境保全活動を行っている。
「武蔵野ビール工場」は「サントリー食品工場多摩工場」と一緒の天然水の森として「天然水の森多摩源流小菅」(山梨県北都留郡小菅村)102haおよび「天然水の森奥多摩」(東京都あきるの市(54.5ha))と東京都西多摩郡檜原村(13.0ha))がある。このように全国にあるすべてのサントリーの工場には天然水の森があり、その面積は7000ha以上に達している。
4-4.工場見学後:「ザ・プレミアム・モルツ」ビールの試飲
ビールを試飲しながら、おいしい缶ビールの注ぎ方を教えていただいた。ザ・プレミアム・モルツビールは泡のなめらかさ、コクのある香りと味はさすがであり、試飲を楽しむことができました。
記録:矢崎 文彦
監修:古西 義正
以上