H26年7月度見学会報告1「読売新聞 府中工場」
2014年 07月 29日NPO法人 科学技術者フォーラム 平成26年7月度見学会報告(第一部)
1. 見学日時:平成26年7月4日 12:45〜15:05
2. 見学先:読売新聞 府中工場 (所在地 府中市南町4-40-33)
3. 参加者:49名
4. 見学次第
大会議室において参考資料(見学ガイド、読売KODOMO新聞、速記用メモ)が配布され、(株)読売プリントメディア総務課のご担当者様から歓迎のご挨拶に引き続き、工場の概要説明、印刷の基礎知識などの説明の後、2班に分かれ工場見学のご案内と全員の記念撮影をして頂き、最後に質疑応答で有意義な見学を終えた。
4.1 冊子「見学ガイド」関連の説明
*小学生がよく見学に訪れるようで分かり易く工夫をされたパンフレットである。
*印刷工場は全国に29ヶ所あり読売新聞朝刊(約1000万部)、夕刊、報知新聞など
を毎日、印刷・配送をしている。その発行部数は世界一としてギネスブックにも認定されている。
*府中工場は朝夕刊約80万部を印刷し、山梨、長野、神奈川、東京などに配送している。
*オフセット印刷の説明:先ず、オフセット印刷の原理とカラー印刷のための色の3原色(紅藍黄)の重ね合わせについて、模型を使って分かりやすく説明された。
(備考)昔の印刷原版は鉛の活字で非常に重かったが、現在のオフセット印刷では、印刷原版は0.3mm厚のアルミ材のCTP(Computer to plate)活版で重量150g程度と軽く、レーザー照射でデータを直接記録したもの(「ダイレクト刷版」という)を使用している。光の当たった部分は硬くなって、薬液を通過すると光の当たらなかった白い部分は溶けて凹みができ、そこに水ローラーが接すると白い部分は親水性で水が染み込む。そのあと油性インクローラーに接すると水が染み込んだ部分にはインクが付着しないで、光の当った素地部分にだけインクが付着するので印刷ができる。尚、油性インクの油は、昔は石油系だったが現在は植物油を使用している。
*今年1月に最新型輪転機への更新工事を完了している。
4.2 DVD鑑賞
*取材から始まり、政治部、社会部、運動部など編集局に所属する各部の記事、写真を組上げて紙面を構成し、それをCTP(全自動製版機)で印刷用の版を作る。その版を輪転機にセットして印刷し、裁断、所定ページを組み合わせて新聞が完成する。次に、各地区の新聞販売店ごとに所用部数を梱包し出荷する。各販売店では、チラシを折り込み、販売店従業員が各家庭のポストまで配達する。
*これらの一連の作業を分かりやすく約15分にまとめてある。
4.3 工場見学
*案内された順番に説明内容を列記する。
*貨物運搬用エレベーターから輪転機の運転状況を見学し運転音を聞く。運転音レベルは地下鉄車内相当とのこと、最新型ではもっと静かになる。
(注)一般の大手の印刷会社と同じく、運転騒音やインクの臭いなどが外部に漏れないような特別の建物構造になっていると感じた。これは環境ISO基準にも準拠する対応がなされていると推定される。
*カラーインク調整行程:墨紅藍黄のカラー用4色を調整し各輪転機にパイプ輸送している。墨専用インクは別の所で調整しパイプ輸送している。
*損紙集積所:損紙が各工程からコンベア搬送で送られてきて台車に自動集積されている。 損紙率は昨年初め3%、現在2%であり、その効果はロール紙換算で年間500本の節約になる。
*給紙部:ロール紙(重量1トン)は自動倉庫からAGV(自動搬送台車)で各輪転機に供給され、排出されたロール芯はAGVで搬出され全体が無人設備になっている。
*印刷部:印刷、裁断、折り畳み、搬送工程がガラス越しに見える所から見学した。
部屋の環境は温度24〜25℃、湿度50〜60%に保持している。これは紙の厚さ、強度などの特性を保持するためである。印刷の速度は約40Km/Hr,7万部/時である。運転要員は各工程の運転状態を監視できる部屋(コックピット)で常時監視している。
*記念撮影 最後にロビーで工場見学記念の集合写真と撮って頂いた。
この写真は、後日、7月4日の朝刊第1面記事に組み込んで印刷したものが見学会の代表者のところに参加人数分(49名)送って頂けるとのことで楽しみである。
4.4 質疑応答 大会議室に戻り質疑応答があった。
*新聞用紙の古紙率はどの位→用紙メーカーや種類によって異なるが府中工場で使用している新聞用紙は約70%である。
*新聞用紙の平米あたりの重量は→読売新聞はSL紙(超軽量新聞用紙)の42.8g/m2
を使用している。
*昔はゲラ刷りがあったがそれに代わるものは→紙面を構成後、全紙のコピーで校閲を行っている。
*損紙率の定義についてやり取りがあり、設備調整時の排紙、品質チェックの排紙、そして印刷不良であることが分かった。
*印刷用アルミ版の寿命はどの位→約25万部である。
5. 謝辞
見学会幹事の古西より、わかりやすく丁寧なご説明と現場見学ご案内に対して謝辞を
述べて見学会を終了した。
記録:立石 修一
監修:古西 義正
以上
※本報告書は、読売新聞グループ本社広報部により査読・修正済のものである。