H25年11月度セミナー報告「ものの見方、考え方をかえると、そこに夢がある」
2013年 12月 21日H25年11月度(第137回) セミナー報告「ものの見方、考え方をかえると、そこに夢がある」
1.日時 :2013年11月9日(水) 14:00〜16:40
2.場所 :品川区立総合区民会館「きゅりあん」 5F
3.参加者:講演 35名
4.題目 :「ものの見方、考え方をかえると、そこに夢がある」
5.講演者: 一般社団法人 発明学会 専務理事 中本 繁実 氏
<講演要旨>
知的財産権の元になる発明に関する実際的な発明の発想の仕方や知財の権利化の方法、活用方法、実用化のポイントについて、また発明、商品化に至る過程については、仕事上の問題、身近な問題、日常生活での不便さを発明につなげた事例を通して「発明に興味を持てば、人は誰でも毎日の生活が楽しくなり人生を明るく暮らすことが出来る。そして、発明の商品化が実現すれば、多くの人が便利になり、時には大ブレーク商品になって会社が潤い、時には当人がお金持ちになる」ということをお話し頂きました。
発明の第一歩、重要な発想の仕方では実際にものを使っての演習があり、参加者は自分の思い込み、見ていたつもりが実は見ていなかったことを実感しました。また「考え方を変える」の例では、ある物、道具の多用途応用を制限時間内に考え出す演習もありました。
>既成概念、思い込み
演習として、5円、50円、10円、100円硬貨の大きさ比較やそれらの図柄が描けるか、体験してみた。他にも、制限時間内で、例えば、灰皿について他の使い方がいくつ挙げられるかの質問があった。参加者は自身の回答作成を通して、ものをよく見ていない、頭が固いという事実を実感した人が多いようであった。(演習結果に落ち込まない様、講師の言葉遊び(ダジャレ)連発がありました)。
>知的財産権は産業財産権(工業所有権)と著作権を合わせたもの。
>産業財産権(工業所有権)には、?特許(物の発明と方法の発明がある。審査有り、権利期間は20年)、?実用新案(考案で、一定の形があるものが対象。届けでのみ、権利期間は10年、現在はあまり使われない)、?意匠(デザイン、美観のあるもの。権利期間は20年)、?商標(ネーミング、サービスマークのこと、新規性がなくても権利化は可能、権利は10年、更新が可能)。?〜?は別々の法律で定められている。特許庁に出願手続きが必要。
>著作権は死後50年。手続き不要。文化庁の管轄。
>発明は実際に試作品を作った後、繰り返し使ってみて、改良を加えて完成度を上げる。
>商品にするときは、先願の有無、権利化の可能性の判断、契約条件の取り決め、市場調査が重要。特許出願にはお金がかかる。出願は急がなくても商品に出来る。特許電子図書館(IPDL)を利用する。
>国によって特許保護の仕方、考え方が異なる。先発明主義、先願主義、先使用権がある。先使用権を行使するには、いつ発明したかを証明出来ることが大切。日付証明には公証役場を利用しなくても、発明の説明図の上に郵便切手(50円)を貼り、日付印(消印)を押してもらう証明方法もある。
>商品化された発明品の事例紹介
・洗濯機の糸くず取り具:伝説化した誰もが知っている物質の発明商品。会社に売り込んでも反応がなかった。そこで、日用品の発明を好んで商品化してくれる会社が注目している発明作品の発表会(日曜発明学校)で発表したところ会社の興味を引いて商品化に到り、更に大手家電メーカーが自社の洗濯機に商品を1個ずつ付けることになって大ブレーク。その後、使用者の声から洗濯機の壁に取り付ける吸盤型だけでなく、壁への取り付け不要な浮き型も商品化。これも当たってロイヤリティは総額約2.7億円。→売り込みにも知恵、顧客ニーズ対応!
・ホチキスの針の残りを知る方法:多くのチャレンジ有り。6件の特許、実用新案の明細とホチキスの現物の紹介(針の色付け、覗き穴等)があった。
・初恋ダイエットスリッパ:姿勢が良くなり、足腰の筋肉を鍛える道具として、スリッパの利用を思いつき、3年間の試作、装着テストを繰り返して減量効果も確認した。発明展で入選し、その後、会社を設立して事業開始。権利化は商品名だけであるが、ネーミングの良さとダイエット効果から年商約5億円。 →完成度、ネーミング!
・雪見だいふく:天候に左右される商品に対するロッテ社員の逆転の発想。冬でも食べてもらえるアイスクリームを作れば良いと考え、餡の代わりにアイスクリームを入れた大ヒット商品で年商70億円。製法特許、商標登録あり。→窮すれば通ず!
・赤ちゃん用ドーナツ枕:500万円の報酬が得られた。その後、更に動物の顔に改良したドーナツ枕の発明があり、これは3000万円の報酬が得られた。→日常品の発明では、ゼロからでなく、今ある物の改良が大変有効!
一度は聞きたい、知りたいと思っていた日常品の特許にまつわるお話、お金をかけないで知財化する方法もお聞きできました。仕事以外の具体的な課題(問題)もこまめにメモし、解決を図る事が人生を楽しく生きる方法、そして、それが「発明」になって、もしかして商品化されたらと、そこには夢がありました。
以上
(記録者 後藤幸子)