H25年6月度見学会報告「NHK放送技術研究所」
2013年 07月 31日平成25年6月度 NPO法人科学技術者フォーラム見学会報告(1)
見 学 先: NHK放送技術研究所 (所在地:東京都世田谷区砧1−10−11)
見学日時: 平成25年6月26日 10:30−12:00
見学者数: 42名
1. 施設概要:
・研究員数 225名、放送に関する国内唯一の研究所。 撮影(カメラ)、処理(編集)、伝送、表示(受信機)まで広範囲の研究をしている。
2. 見学内容
1)スーパーハイビジョンのデモ (於:講堂)
・現在放送されているハイビジョンの16倍の解像度、3300万画素の超高精細映像が楽しめる。
300インチのスクリーンに映し出された映像は迫力がある。
・音響は5.1chサラウンドをはるかに凌ぐ22.2マルチチャンネルの三次元音響。 上層、中層、下層に各々
9個、10個、5個のスピーカーを設置し高い臨場感を楽しませてくれた。
・2012年ロンドンオリンピック開催中、日本、英国、米国共同でテスト放送を行った。その映像をここで見ることが出来た。NHKは現在スーパーハイビジョンの国際標準化に積極的に取り組んでいるとのことだった。
・2016年に試験放送、2020年にサービス開始を目指している。
2)ハイブリッドキャスト (オンデマンド)
放送と通信を組み合わせた双方向でアクセスの出来る質の高いコンテンツの提供。
・30日前までの放送番組表が表示されその中の任意の番組(印の付いたもの)を見る事が出来る。
・画面枠外に表示されたニュースタイトルをクリックするとその詳細が見られる。
・リモコン機能とTV画面をタブレット上に表示して画面タッチで操作可能。番組によってはタブレット上に自分が書いた絵などをTV画面上に表示して番組に参加出来る(あらかじめ設定したお友達同士で)。
・マラソン中継なら、全行程地図から部分を選んで表示する、中継車を選んでそれらからの中継画面を複数表示する、選手の紹介を選ぶ、等が出来る。
3)気象情報を対象とした日本語手話CG翻訳システム
・アニメキャスターが入力された天気情報の文章を手話で伝える。
TVで緊急避難放送を流しても耳の不自由な人にとっては理解できない。これらをわかるようにするため日本語を手話CGにリアルタイム自動変換する研究をしている。約4900語の日本語−手話対訳辞書が作成されている。
4)ロビー常設のビデオ箱での説明
(1) 超高速度撮影されたスローモーション映像、NHK番組「ダーウィンが来た」でよく使われている。
鳥のホバーリングなどの映像。16,000fps、155,000fps等の映像のデモ。1Mfpsまで研究は進んでいる。
(2) 超高感度映像、わずかな光りでも撮影可能なカメラの映像。
(3) 超高感度マイク、蚕の桑の葉をかじる音の再生。ヘッドフォンで聴かせてもらえる。
(4) 多視点映像、跳び箱選手の跳躍、回転を12台のカメラで写し、多視点映像として組み立てる。
(5) 特殊なメガネを必要としない立体テレビ:研究開発中であり、立体画像はまだ鮮明ではない。
(6) スーパーハイビジョン映像の切り出し、ズーム機能、 など。
<感想>
放送技術の研究開発が世界最高水準で、いくつもの課題に取り組んで進められていることが勉強できた素晴らしい見学会となった。特に、スーパーハイビジョンの素晴らしい解像度と迫力ある音響に感銘した。また手話翻訳CGなど福祉面での開発は大変なご苦労があることが分かりそのご努力に敬意を表したい。
以上
報告者: 塚田 浩
監 修: 古西 義正(見学会責任者)