H25年4月度セミナーのご案内「大気汚染物の硫酸と世界の樹木の立ち枯れの関係
2013年 03月 15日科学技術者フォーラムH25年 4月度セミナー(第130回)ご案内
「大気汚染物の硫酸と世界の樹木の立ち枯れの関係
木炭による立ち枯れ防止について」
元東邦大学理学部教授 大森禎子 先生
近年、新興国の経済発展に伴い、工業化による大気汚染が深刻になっています。大気汚染は国境を越え周辺国へも影響を及ぼしており、酸性雨による樹木の立ち枯れとなって目に見える形で現れている。最近では中国大気汚染がTVでも話題になっており、日本への影響も懸念され、身近な問題となってきました。大気汚染と樹木の立ち枯れの関係とその対策について、各地で調査した現状と対策を、化学的幅広い観点から解説していただきます。ご興味がある方は、是非ご参加ください。
1.日時:平成25年 4月 6日(土) 14:00 〜 16:50
講演終了後近くの会場で講師を囲んで懇親会開催(19時頃まで)
2.会場:品川区立総合区民会館「きゅりあん」5F第3講習室
(JR大井町駅中央改札出て左直進、ヤマダ電気裏側)
地図:http://www.shinagawa-culture.or.jp/curian/
3.講演要旨
樹木は二酸化炭素を吸収し、生物の生存に必須元素の酸素を供給できる唯一の天然資源であるが、樹木は世界中で枯れ始めている。理由は、化石燃料の燃焼で発生する硫酸である。硫酸は酸性雨になり、大気中の硫酸は風の通過量と樹木の表面積に比例して樹木の付着量が多くなり、雨で土壌に落とされて土壌成分を溶解する。土壌から溶出する金属イオン(Al3+,Fe3+)は、樹木に吸収されて樹木のリン酸と化合して不溶性の金属リン酸塩になる。樹木はリン酸不足と同じ現象になり衰退する。マツは樹脂の生成量が減少し、ナラ等はタンニンが金属イオンと化合して無毒化する。虫は食料と住居が確保されると大繁殖して樹木が枯れる。樹木はNa、K、Mg、Ca、P等を含み、炭化すると炭酸塩や酸化物になって木炭の中に残る。雨は木炭に掛かるとアルカリ溶液になり、酸性土壌を中和する。残った元素は必要な割合で含む理想的な栄養源になり、木炭は保水剤や土壌微生物の住み家となって土壌を活性化して、樹木の立ち枯れが防止できる。
南米大陸最南端のフェゴ島は、風の当たる西斜面や通り道の南極ブナが全滅している。斜面を流れ落ちた雨水のpHは湧き水より低く、硫酸イオン濃度は170倍高い(1999)。ニュージ−ランドー南島は、西海岸と南端の樹木が枯れ(2001)、アメリカは五大湖とニューヨークの間のバルサモミの森林が7割枯れ(1999)、赤道に近いドミニカ共和国(2003)やハワイ島(2008)の山の北側の針葉樹や広葉樹は、上昇気流で北から引き寄せられる硫酸で枯れている。“鯉のぼり”は風が有る限り空中で泳いでいるように、硫酸は風で移動し、赤道を越えて南極の周囲を常に西向きに吹く極渦の中に蓄積する。日本はマツ、ナラ、スダジイ等が、佐渡島や八丈島まで枯れている。樹木の立ち枯れの主な原因は土壌の酸性化であるが、現在も虫とされて薬剤が撒かれ、目的の虫ばかりでなく他の虫も殺傷して、山の藪には蝶も蛾もそれらを食料とする蜘蛛の巣も見あたらない。次は虫媒花の樹木の子孫が無くなる可能性がある。
4.経歴
(1)略歴
東邦(旧帝国)女子理学専門学校卒業
“水中および鉱物中の微量成分の分析法に関する研究”学位取得 博士(理学)
〜1995年3月 東邦大学理学部・助手、講師・助教授・教授・大学院理学研究科担当併任
1995年4月 東邦大学理学部非常勤講師
2000年3月 退職
受賞
1993年 日本工業用水協会第28回研究発表論文賞受賞
ペルオキソ二硫酸カリウムによる水中の微量有機体炭素の簡単で正確な定量法:
工業用水No.408,33-42(1992).
(2)活動
所属学会
日本化学会永年会員、分析化学会永年会員、日本地球化学会、環境科学会
木質炭化学会、日本森林学会
環境に関する調査地
タイ, マレーシア、アメリカ・アデロンダック地方、インドネシア・西カリマンタン、オーストラリア・パース、アルゼンチン・フェゴ島(南米大陸最南端)、フィリピン・ルソン島、 ニュージーランド南島、韓国、ドイツ、ドミニカ共和国、中国、ミャンマー 、 台湾
日本の調査地:1995年から2012年まで207回
樹木の立ち枯れに関する著書と論文
硫黄酸化物と樹木の立ち枯れの関係―炭による立ち枯れ予防と二酸化炭素の削減―河川文化を語る会講演集(その30)p.86-164(2010)日本河川協会発行
大森禎子(1997):酸性雨による植物からの金属元素の溶出:金属、67,197-206.
大森禎子・吉池雄蔵(2001)樹木の立ち枯れ調査の簡易分析方法,:分析化学50,465-472.
大森禎子・岩眞理(2010)大気汚染による樹木の立ち枯れのメカニズムー炭による立ち枯れ予防とCO2削減―木質炭化学会7,3-11.
5.参加費 会場でお支払いください。
・科学技術者フォーラム(STF)正会員,女性、学生 1,000円
・BCC-NET会員、ティー・エムレポート会員、経営支援NPOクラブ会員、
異普奇会会員、もったいない学会会員、千葉県加工技術研究会会員、表界研会員、
その他友好団体会員 1,500円
・一般 2,000 円
*講演中の写真撮影などは、ご遠慮願います。
6.参加申込:下記の申込み書に記入して、セミナー担当の木村 茂雄 宛メール又はFAX
でお申込み下さい。
木村 茂雄 TEL 080-5652-1466 FAX: 047-485-2465
E-mail:s_kimura_tqgj@yahoo.co.jp
*********セミナー参加申し込み *****************
<科学技術者フォーラム(STF)平成25年4月度セミナー(第130回)参加申込書>
●お名前: (ふりかな: )
●所属(会社,事務所、団体):
●メールアドレス:
●TEL: FAX:
●参加区分:科学技術者フォーラム(STF)正会員、BCC―NET会員、ティー・エムレポート会員、経営支援NPOクラブ会員、異普奇会会員、もったいない学会会員、千葉県加工技術研究会会員、表界研会員、その他の友好団体学生、一般(紹介者: )*該当を○で囲んでください
●懇親会:参加 不参加(いずれか残す)
●領収書(講演会)の必要有無: 有 無