H25年度1月度(第127回)セミナー報告「3Rの定着と環境デバイド」
2013年 01月 28日2013年1月12日
科学技術者フォーラム STFセミナー 報告
「3Rの定着と環境デバイド」
金沢工業大学大学院 上野 潔 客員教授
講演では廃棄物処理、リサイクルに関する話を解り易く解説してもらいました。
下記報告は、講演のかなりの部分を割愛しましたので、先生の講演を見つけられた時に、『是非聴講して頂ければ。』と思っております。
1. はじめに
3RとはReduce(発生抑制)、Reuse(再使用)、Recycle(再生利用)で、大学のセンター試験(平成18年1月21日)に出題されたため、受験生(及び、その親)にとっては一般的な概念として定着している。
大部分の廃棄物処理業者は零細事業であるが、リサイクル事業は大規模な事業となっている。そして、現在ではリサイクルは静脈産業から資源循環を担う動脈産業になって来ており、大手企業が参入して来ている。
2. 環境型社会
環境規制の原点:1992年6月にリオデジャネイロで開催された、第1回地球サミットが原点で、欧州が環境理念の分野でリードし、日本は実践の部分で環境施策を先頭に立って実践してきた。この時、アジェンダ21が採択され、EPR(拡大生産者責任)原則、予防原則の理念が広まった。
拡大生産者生産者責任(EPR:Extended Producer Responsibility):生産者が素材の調達から廃棄段階物までの対応をする考え方で、OECDが提唱した理念。
法展開:環境基本法の下で、廃棄物処理法、資源有効促進法(3R法:3Rの取り組みを総合的に推進していくための法律)が実務の中心法となっている。
中古品の開発途上国への販売:先進国としては、自国内でごみを出さないこととなり、有効な方法だが、廃棄物は開発途上国に溜まることになる。また、安価な高性能の中古品の存在は現地の製品製造の意欲を失わせることになってしまう。
3. Df-E(環境適合設計)とリサイクル技術
Df-Eは環境を考慮した設計手法であり、その中でDf-D(易分解性設計:最小コストで分解回収できるように設計すること)は従来にない新しい概念であるが、消費者には効果が直接解らないので残念とのこと。これは製造から廃棄までトータルで製品を観なければ対応できない概念であり、家電メーカーはリサイクルプラントでこの概念を勉強している。
上記概念のため、不可逆性の生産技術(焼ばめ、溶接、塗装等)の使用も見直しが必要になっている。また、素材が環境の主役になると、おかしな製品が生まれる危険もある。例えば、塩ビ不使用、鉛フリーはんだ、植物由来プラスチック混用、ノンフロン等。
4. 環境分野の非製造ビジネス
予防原則による化学物質規制に対応するために、各メーカーは認証を受けた部品、素材のみを使用することになる。このため、零細企業や途上国国家の保護が難しくなって来ている。
欧州は環境規制を利用したが認証、分析、調査、コンサルティング等、環境に関する非製造ビジネスを創造している。世界企業が利用せざるを得ない巧妙なビジネスモデルである。
以上
記録:碇