H24年9月(第43回)見学会報告「日本科学未来館+都立産業技術研究センター」
2012年 09月 19日NPO法人 科学技術者フォーラム 2012年9月度(第43回)見学会報告
(日本科学未来館+都立産業技術研究センター)
1.見学日:平成24年9月 3日(月)13:00〜17:15
2.見学先:
第一部 13:00〜15:00 日本科学未来館(所在地:東京都江東区青海2−3−6)
第二部 15:30〜17:00 地方独立行政法人 東京都立産業技術研究センター 新本部
(所在地:東京都江東区青海2−4−10)
3.参加者数:延べ52名(第一部 48名、第二部 51名---業務都合で1名は第一部見学後退出)
4.第一部の見学:日本科学未来館 (自由見学)
(1)館内吹き抜けにある、Geo-Cosmo(有機ELパネルを使った大型地球ディスプレイ)は必見の価値がある。Geo-Cosmoの周りを巡るオーバルブリッジを歩くと人工衛星に乗って地球を周回しているようだ。
(2)自立歩行ロボット「アシモ」の実演や超電導の実験等、技術を分かりやすく説明していた。
(3)その他1階〜5階の展示室に所狭しと並べられている展示物や6階映像室(プラネタリウム他)など、自由見学を楽しんだ。
5.第二部の見学:東京都立産業技術研究センター 新本部
(概要説明と各研究室見学:お世話役=経営企画部 広報室 桝本博司様)
5−1.概要説明
産業技術研究センターは東京都内の中小企業に技術支援を行うための公設試験研究機関である。2006年4月に、それまでの東京都立産業技術研究所と、城東地域中小企業振興センター、城南地域中小企業振興センター、多摩中小企業振興センターの技術部門を統合し、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターとなった。
2011年4月1日に西が丘本部と駒沢支所を統合し、2011年10月3日に江東区青海に新本部が開設された。
施設は現在、多摩テクノプラザ、城東支所、墨田支所、城南支所とこの新本部の5か所。
多摩テクノプラザは繊維と電子関係で、特に10m法電波暗室と繊維の織り機関係の設備が特徴。
城東支所は、機械加工が中心でデザイナーが常駐。主に葛飾を中心とする城東地域のモノづくりを支援。
墨田支所は、繊維関係中心で。浅草橋界隈の繊維業界を支援。
城南支所は、大田・品川区のモノづくりを支えており、地域に直結した技術支援の役割を担っている。
※中小企業の技術支援について
「時代の先を読み、技術の力で産業をリードする」を経営ビジョンに、製品開発支援として、
ユーザーが設備を借用する機器利用と、試料を預りデータや成績表証明書を返却する依頼試験を行っている。
研究開発としては、製品開発のための基盤研究と中小企業と一緒に問題解決をする共同研究を行っている。また、技術セミナーや講習会により、産業人材の育成を行っている。
5−2.新本部各種研究室の見学
(1)全体について:建物はコンクリート打ちっぱなし、空調設備ユーティリティー配管(パイプシャフト)は建物に囲まれた吹き抜けの屋外部分に配置している。設備は古いものもだいぶ持ってきたが、新規に購入した機器類の金額は約59億円。
(2)システムデザインセクター(3F):造形室で3D造形装置(国産)を見学
金型を作らずにプラスチック製品を立体造形できる。
プラスチップパウダーを0.1厚に散布し、レーザー光を照射して溶融して2Dで造形してから、上に積み上げ3D化する。
(3)実証試験セクター(2F):環境試験室で各種試験装置を見学
高温恒湿槽、熱衝撃試験機、振動試験機、落下衝撃試験機などがある。設備によっては内部観察が可能なガラス窓を有し、長時間の耐久試験などが観察可能となっている。
最近はLED照明器など大型のものがありそれらの試験に高温恒湿室ができる。
(3)高度分析開発セクター(1F):各種分析検査装置を見学
振動を嫌う超精密分析装置を1階に設置している。
核磁気共鳴分析装置、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、ICP質量分析装置等、高度な設備を有している。
(4) 情報通信技術室(5F):
電子デバイスの通信機能開発。USB2.0、USB3.0を利用した通信技術の信号チェックを行っている。
(6)資源有効利用実験室(5F):RoHS分析について見学
エネルギー分散型蛍光X線分析装置による、有害物質の分析等を行い、分析報告書の発行、分析作業指導、RoHS関連の技術指導、講習会を開催している。
(7) 利用に関して
国内の企業に関しては、利用制限はしてない。製造業を営む個人の利用に関しては仕事に関する利用は問題ない。
[感想]:都立産業技術研究センターは、中小企業のあらゆる研究課題に対応できるように沢山の研究室が素晴らしい設備と人材を配して設置されており、今回、見学できたのはそのうちの一部に過ぎないが、その内容の充実振りには感銘した。しかし、本当に技術支援が必要な中小企業の多さに比較して、新本部の存在がまだ十分に知れ亘っていないので、中小企業への周知が課題になっているとのこと。われわれ見学者も中小企業との接触の際には、必要に応じて、産業技術研究センターの紹介を考慮に入れたい。
NPO法人 科学技術者フォーラム(STF)
記録 : 木村 茂雄
監修 : 古西 義正