H24年10月度セミナー(第124回)のご案内「日本における糖質研究」
2012年 09月 08日科学技術者フォーラムH24年10月度セミナー(第124回)のご案内
「日本における糖質研究」
<デンプンからブドウ糖の安価な生産、甘味向上のための異性化糖生産、
そして、体節調節機能としてのフルクトオリゴ糖、トレハロースまで>
谷口 肇 先生
(石川県立大学名誉教授、元日本応用糖質科学会会長、元農水省食品総合研究所 所長)
今回は糖質について元農水省食品総合研究所 所長の谷口先生に講演してもらうことになりました。
糖質は我々の身の回りにあり、非常に親しみやすいのですが、非常に奥の深い物質です。この物質について、谷口先生に概要を説明して貰います。
谷口先生は大学の先生と食品総合研究所の両方の経験があり、サイエンスと同時に産業に関係のある内容も紹介して頂けると思います。興味のある方は、是非参加してください
1.日時:平成24年 10月 6日(土)14時〜16時50分
講演終了後近くの会場で講師を囲んで懇親会開催(19時頃まで)
2.会場:品川区立総合区民会館「きゅりあん」5F第3講習室
(JR大井町駅中央改札出て左直進、ヤマダ電気裏側)
地図:http://www.shinagawa-culture.or.jp/curian/
3.講演要旨
はじめに:
「糖質ゼロ」が現代のクールの一つである。電車の広告にもテレビにもこの言葉があふれている。飽食・超高齢社会にあってエネルギー源は敬遠すべきものとなったかの感がある。しかしデンプンを中心とする糖質が我々の主要エネルギー源であることには今も変わりはない。さらに、近年種々の生理機能を持つオリゴ糖が開発され、身近な食品に利用されるようになって来た。
ブドウ糖の生産:
戦後の高度経済成長期(1960年代)にアメリカからトウモロコシが輸入されるようになり、ここから安価なデンプンが多量に生産されるようになった。この前後から微生物由来の酵素(α―アミラーゼ、グルコアミラーゼ)を使ってデンプンをほぼ100%ブドウ糖に変換する技術が開発され、トウモロコシからのブドウ糖の工業的生産が実現した。清酒や醤油醸造などの日本の伝統的発酵技術がこれら微生物由来酵素の開発の基礎となった。
異性化糖の開発:
高度経済成長が終わる(1973年) 頃ブドウ糖を果糖に変換する酵素、グルコースイソメラーゼが日本で開発され、ブドウ糖から異性化糖を工業的的に生産する技術が確立された。原料であるデンプンの年間生産量は、それまでの100万トン強から1980年代後半には300万トン弱に増加し、現在もほぼ同じ水準を維持している。
食品の3次機能(体調調節)の発見:
1985年ころ食品の第3の働きとして体調節機能が見出され、世界で初めて日本で、このような機能を持つ食品が機能性食品として定義された。これを受けて厚生省(当時)は、1991年、特定保健用食品の制度を発足させ、虫歯予防、血糖調節などの体調調節機能が科学的に証明された食品が「特定保健用食品」として認可されることになった。日高等はフルクトオリゴ糖が人の腸内フローラを改善する(ビフィズス菌を増加せる)ことを見出した。
オリゴ糖ワールドの展開:
これ以後様々なオリゴ糖の開発とその体調調節機能の探索が、日本において精力的に進められた。この15年ほどの間に、トレハロースを始め様々なオリゴ糖が開発され、さながら百花繚乱の感を呈している。デンプンの酵素糖化が世界で初めて日本で実用化されて以来、世界をリードし続けている日本の糖質研究の現状を紹介する。
4.略歴・
生年月日 昭和14年4月24日(71歳)
学歴
昭和36年 4月 東京大学農学部農芸化学科進学
昭和38年 4月 東京大学大学院化学系研究科農芸科学専門課程修士課程入学
昭和40年 4月 東京大学大学院農学系研究科農芸科学専門課程博士課程進学
昭和43年 4月 同上中退
職歴
昭和43年 4月 東京大学助手(農学部農芸化学科)
昭和47年 6月 農学博士(東京大学)
昭和48年 7月 ー 昭和50年7月
Iowa State University, Department of Biochemistry & Biophysics に留学
昭和61年10月 農水省食品総合研究所食品資源部主任研究官
昭和62年 4月 農水省食品総合研究所食品資源部素材化技術研究室 室長
平成 3年10月 岩手県醸造食品試験場 場長
平成 5年11月 農水省食品総合研究所企画連絡室 室長
平成 9年10月 農水省食品総合研究所 所長
平成11年10月 同上定年退職
平成12年 4月 中部大学生物機能開発研究所 教授
平成13年 4月 中部大学応用生物学部応用生物化学科 教授
平成16年 4月 中部大学応用生物学部応用生物化学科 学科主任
平成17年 4月 石川県立大学生物資源環境学部食品科学科 学科長
平成22年3月 同上定年退職
専攻
生物化学、糖質及び関連酵素科学
賞罰
昭和59年10月 日本澱粉学会奨励賞
平成 6年10月 日本応用糖質科学会学会賞
5.参加費 会場でお支払いください。
・科学技術者フォーラム(STF)正会員,女性、学生 1,000円
・BCC-NET会員、ティー・エムレポート会員、経営支援NPOクラブ会員、
異普奇会会員、もったいない学会会員、その他友好団体会員 1,500円
・一般 2,000円
*講演中の写真撮影などは、ご遠慮願います。
6.参加申込:下記の申込書に記入して、セミナー担当の碇 貴臣 宛メール又はFAX
でお申込み下さい。
碇 貴臣 TEL&FAX:052-833-4035
E-mail:ik-3780@trust.ocn.ne.jp
*********セミナー参加申し込み *****************
<科学技術者フォーラム(STF)平成24年10月度セミナー(第124回)参加申込書>
●お名前: (ふりかな: )
●所属(会社,事務所、団体):
●メールアドレス:
●TEL: FAX:
●参加区分:科学技術者フォーラム(STF)正会員、BCC―NET会員、ティー・エムレポート会員、
経営支援NPOクラブ会員、異普奇会会員、もったいない学会会員、その他の友好団体
学生、一般(紹介者: )*該当を○で囲んでください
●懇親会:参加 不参加(いずれか残す)
●領収書(講演会)の必要有無: 有 無