H24年7月見学会報告「日産自動車株式会社 追浜工場」
2012年 07月 30日2012年7月度 科学技術者フォーラム見学会報告(?)
見学日:平成24年7月12日(木)
見学先:日産自動車株式会社 追浜工場(神奈川県横須賀市夏島町1)
参加者:56名
見学時間:10:00〜11:30
1. 会社及び追浜工場の概要説明
説明者:総務課長 小野様
日産自動車は1933年に設立。資本金6058億円、従業員24,240名である。車両生産工場は31拠点、ユニット生産工場は27拠点にある。生産工場の中心は中国に移りつつある。
追浜地区は生産エリア、総合研究所エリア、物流エリアから成り、生産エリアの追浜工場は
1961年に操業開始、2011年に50年目を迎えた。1997年に民間企業として国内初のISO14001の認証を受けた。現在の従業員は2323名である。1970年に業界初の溶接ロボットを導入し、自動化の進んだ最新鋭の車両組立工場である。現在、リーフ、ジューク、キューブの三種類の車を製造し、その生産能力は24万台/年である。
電気自動車のリーフは2010年から生産開始され、通常の車と同じ製造ラインで混流生産が行われている。
工場の概要の説明を受けた後に日産生産方式(NPW)の紹介ビデオを見た。
NPWとは、サプライヤから工場、販売までのサプライチェーンを連携して、最適の「同期生産」を追求していくもので、高品質の車を効率よく生産し、ユーザーに約束した納期で納車するようにしている。
受注後ただちに、車種・色・グレード・オプション・納期などの情報を元に、コンピューターで計算し、部品、工程ごとの生産順序と時間を定めた生産計画を立案する。つぎにサプライヤ、生産工場、物流会社、サービスセンターにこの計画データを送信し、各社、各工程がすべて連携した生産順序と時間が設定される。サプライヤは計画通り製作した部品を、毎日生産順序通りに、納期厳守で工場に納入する。この部品は作業指示に従い、1台分ずつまとめて組立ラインに供給し(キット供給)、ラインで流れてくる1台ずつ異なる車種の組立作業が効率よく行われるようになっている。
2. 工場見学
案内者:総務課長 小野様;生産課 遠藤様、桜井様
3グループに分かれて工場見学。当日、溶接ロボットのトラブルで生産ラインが止まっていたので、各ラインでの静止した状態を見学した。
(1)ドア取外し、サブ作業ライン
作業容易、品質向上のためにドアを取外し、作業を実施する。12h後に取り付ける。
(2)組み付けライン:複数車種混流方式で各種部品を組み付ける。
(3)シャーシーライン:通常自動車用のガソリンタンクかEV用のバッテリー(300Kg、充電済み)
を、下から目印を目標に取り付ける。
(4)サプライヤライン:カルソニックカンセイなどが部品供給する。
(5)検査場:電気系統のチェック、高速運転での性能チェックなどを実施する。
(6)総合
・リーフは10台/h程度で生産している。
組立時間は2〜3hで、検査を含めた全体の時間は14〜15hである。
・各ラインでの車作業時間は1分/1台である。
・部品供給は海外製が5%程度であり、その比率は高まりつつある。
※工場内の見学終了後、バスで埠頭に移動し、北米、北ヨーロッパ向けに完成自動車を積み出す
現場を見学した。
3. 質疑応答
対応者:総務課長 小野様
1)外注業者
カルソニックカンセイをはじめ7社あり、工場内部に入っている。
2)トラブル時の対応
部品納入、加工機械に問題があるようなトラブルでは、部分的に停止するのではなく、全ライ
ンを同時停止し、対策を立てる。
3)リーフの生産方法
現在の混流生産は、今後、生産数が増加しても続ける予定である。
4)ヒューマンエラー
部品納入などに可能性があるが、あまり目立っていない。バーコード管理、作業者の教育に
重点を置いている。
5)ライン停止時の作業者の仕事
まず清掃、さらに復旧に時間を要する場合は教育を行う。
4.感想
「日産生産方式」を目標として掲げているように、車組立ての作業効率を良くすること、ヒューマンエラーなどのトラブルを極力少なくすること、作業環境を良くすることを最重要課題として取り組んでおられることに感銘しました。日本が、車の製造技術で世界をリードしてきたことを実感できました。いま韓国、中国などが追い上げてきています、更なる進歩、向上を期待します。
記録:木村 芳一
監修:古西 義正(見学会責任者)