株式会社日立産機システム 習志野事業所 平成24年4月見学会
2012年 05月 26日2012年4月度 科学技術者フォーラム見学会報告(改訂案)
見学日:平成24年4月27日(金)
見学先:株式会社日立産機システム 習志野事業所(千葉県習志野市東習志野7−1−1)
参加者:37名
見学時間:15;00〜17:30
1. 会社及び習志野事業所概要説明
説明者:ドライブシステム事業部生産管理部
業務管理グループ部長代理 首藤 昇様
この工場は1962年8月に日立製作所習志野工場として発足した。
2002年株式会社日立産機システム習志野事業所として再編成、産業から生活インフラまでの環境、省エネルギーのシステムソリューションを提供することで社会に貢献することを目指している。
習志野事業所の建屋は発足当時の旧工場と2002年度以降の新工場から成り立っている。
従業員は現在総計1700人、敷地面積は360,000平方メートル、緑地面積は21.6%である。
生産品目はモーター、インバータ、ポンプ類である。標準モーターはタイ工場で作っているので、習志野では個別注文のモーターを製作している。
社会への提供製品としてのソリュ−ションFEMS( Factory Energy Management System )を、旧、新の両工場で展開している。
1999年に省エネルギー優秀事例全国大会で「省エネルギーセンター会長賞」を受賞。
2002年にエネルギー管理優良工場「経済産業大臣表彰」を受賞、国内外から多数の見学者(年間約2000名)の来訪を受けている。
2. 工場見学
案内者: 説明に引き続き首藤 昇様
工場の見学に先立ち、展示棟でH−NETによる工場内エネルギーの消費状況を監視モニターで説明を受ける。順次対象を切り替えることにより、工場内各機器群のエネルギーの使用状況が刻々と表示され、対策が打てる「見える化」の実例を見ることができた。
工場内では各所における群制御機器の設置状況の説明を受けた。
省エネルギーの観点からガス、蒸気のエネルギーを電気に替えて来た例としてアルミインゴットの電気溶解炉の見学と説明があった。ガスより正確な温度管理が出来ること、そして鉄より溶解温度が低いためそれだけ、エネルギーの使用量が少なくて済むこともあって、モーターのケーシングをアルミ化したとのこと。
塗装ブースでは塗料の付着量を増すために、エアースプレーに替えて静電塗装を取り入れたとのこと。無駄なエネルギーを使わないように作業者の足元にマットスイッチを置くなど細かな現場に即した対応で、ブースにおける塗料の飛散が極めて少ないことを見学できた。
工場内の照明では手元照明を中心にした旧工場の全体照明の暗さと、新工場のLEDを使用した明るさの対比が印象的であった。設備更新の時期ごとに着実に切り替えて行く姿勢が拝見できた。
工場では「やまホタル計画」と名づけて、身近なエネルギー活用の例として、工業用水の吐出圧力を利用したマイクロ発電を行っていた。太陽光発電はもちろんのこと、少しでもエネルギーを確保できることは取り入れるという熱情に感銘を受けた。
3. 質疑応答
対応者:環境管理センター主任技師 加藤 収三様
および見学説明に引き続き首藤 昇様
1) 省エネルギーの目標値と推移は?
1990年を基準年として20年でエネルギー原単位あたり20%減の目標値を掲げた。現在、基準年の80%であり、目標値を達成した。今後、2015年に25%減の目標値を達成するつもりである。
2)省エネルギー設備導入の基本姿勢は?
設備の更新時に、それに伴い省エネルギー設備に切り替えてゆく方針。例として工場の照明をあげることが出来る。更新の時期ごとに切り替えて行くから、新工場ではLED照明になっているが、旧工場でも計画的に蛍光灯や水銀灯から高効率タイプの照明(LEDやセラミックメタルハライドランプ等)に切替えている。
旧照明設備で照明器だけを取り替えることはしない。
3)電力使用量についての方針は如何?
焼鈍炉の稼動を深夜電力にまわすなど、1日の使用量の平準化を計り、ピーク電力量を下げて、契約電力量を削減することを主眼にしている。これにより、最大時11,000KWであったものが、現在5,800KWにすることが出来た。
4)コジェネについての採用は如何?
当工場では、コジェネで発生した熱を利用する施設がないので、採用はしていない。
5)空調の省エネルギーは如何?
工場建屋の空調を考えるのに、現在建屋内の製品中間仕掛量が多いので、これの削減に努めて、結果として、建屋空調の省エネルギーに進みたいと考えている。
4.感想
20年間にわたる継続した地道な足元の省エネルギー努力が今日の工場の姿を作り上げていることが強く感じられた。
旧工場での省エネルギーへの取り組み、新工場での省エネルギー施設、いずれも外部に対してのモデルショップとなっており、見学者それぞれに目標となる事例として眼前に展開されていることに感銘を受けた。
謝辞
折りしも工場内通路での満開の桜の中で、工場見学、質疑のおける丁寧な解答、そして
工場内で行き会う従業員の方々の落ち着いた態度に良い見学が出来たことを感謝いたします。
記録:藤野 宏
監修:古西 義正(見学責任者)