キリンビール横浜工場(キリン横浜ビアビレッジ)平成23年7月5日(火)
2012年 03月 14日NPO法人 科学技術者フォーラム 2011年7月度見学会報告(その2)
日 時:平成23年7月5日(火)
ANA機体メンテナンスセンターより移動、15:50 着
見学先:キリンビール横浜工場(キリン横浜ビアビレッジ):横浜市鶴見区生麦1-17-1
参加者:56名 (2班に別れて見学)
1.行 程:
A班 16:20〜17:30 工場見学ブルワリーツアー(製造工程見学と試飲)
B班 16:30〜17:40 工場見学ブルワリーツアー(製造工程見学と試飲)
2.製造工程見学
ビデオとガイドの説明によって「ビールができるまでの流れ」(原料→製麦→仕込→
発酵・貯蔵→ろ過→パッケージ)を見学した。
(2-1)原 料:麦芽、ホップ、水
麦芽はでんぷん質が多く含み、適度のたんぱく質がある良質の二条大麦が使われる。
ホップは苦味と香りを与えるもので、ビールには欠かせないものである。
水は100以上の厳しい水質基準に合格し、磨き抜かれた良質の水を使っている。
キリンでは、「水源の森づくり」などの活動を通じて水源地に植林をしている。
その他の副原料として、まろやかさを出す米やすっきり感を出すコーンスターチを使う
こともある。
(2-2)製 麦
二条大麦に水を与えて発芽させ、ほどよいところで乾燥させて成長を止める。これを
「麦芽」(モルト)という。
(2-3)仕 込:糖 化→麦汁ろ過→煮 沸
糖 化:砕いた麦芽と湯を混ぜ、温度調節しながら煮込んで「もろみ」をつくる。
さらに糖化をすすめ、甘い麦のスープをつくる。途中一部を取り出して、うまみ
成分を取り出すなどひと手間かけた製法もある。
麦汁ろ過:最初に出てくるものを一番搾り麦汁、その後、湯を加えてエキス分を洗い出 したものを二番搾り麦汁といい、一般にはこの2種類の麦汁をつかっている。
キリンの「一番搾り」はこの一番搾り麦汁だけを使っている。
煮 沸:ろ過した麦汁にホップを加え、煮沸する。ビールの種類により、ホップを数 種類使い、何段階かに分けて加える。キリンでは定評のある高品質のファイン アロマホップなどを輸入して使い分けている。
(2-4)発酵・貯蔵
ビール酵母を選び、麦汁に加え、アルコールと炭酸ガスをつくる。
約1週間で「若ビール」ができあがる。これを約0℃で1ヶ月〜2ヶ月低温貯蔵する。
(2-5)ろ 過
熟成が終わったビールをろ過する。酵母やたんぱく質を取り除いて澄んだ透明琥珀色の
ビールができあがる。
(2-6)パッケージ (缶・びん・樽詰め→印字検査)
*缶の場合、詰める前に印字機で缶の底に製造時期などを印字し、リンサーで缶を
洗ってビールを詰める。1分間に1,500〜2,000本のビールが詰められている。
*びんの場合は1分間に約600本が詰められている。キリンではびんの表面にセラミック
層を設け、強度を向上して肉厚を下げることに成功した。このため、びんを詰めたケース
(20本入り)の重さが約2kg低下した。→輸送でのCO2削減。
[注1] 環境関連:ゼロエミッションを徹底しており、生産工程から出てくる仕込みかすは
動物飼料やきのこ培地に、余剰酵母は健康食品に、ビンの王冠栓は製鉄原料にするなど、再生利用されている。
[注2] 電力はすべて自家発電しており、余剰電力は外部に販売している。 発電用の燃料と
しては、都市ガスのほか、排水処理工程で発生したメタンガスも利用している。
3.試 飲
製造工程見学後、直ちに試飲コーナー(試飲券3枚)での「一番搾り」など試飲した。
<所見>キリン横浜ビアビレッジの見学は2007年以来4年ぶりだが、一貫して美味しいビールつくりへの真摯な取り組みが続けられており、特に、環境対策、電力対策などの面での一層の努力がされていることに敬意を表したい。 以上
NPO法人 科学技術者フォーラム(STF)
記録: 地畑 健吉
監修: 古西 義正