第75回 見学会報告「白洋舎 本社・多摩川工場」(2024年11月)
2024年 12月 02日2024年11月27日(水)14:00~15:30 参加者:計16名
株式会社 白洋舎 本社・多摩川工場(東京都大田区下丸子)
1.白洋舎・概要
(1)明治39年(1906年)創業
三越百貨店で洋服(当時は全てオーダーメイド)を仕立てた顧客のクリーニングに対する要望を踏まえて、三越百貨店の外交を担っていた創業者がクリーニング業を始めた。
(2)多摩川工場(東京都大田区下丸子)は昭和7年(1932年)開業
多摩川近くで地下水が豊富な土地であることが重要なポイントだった。
(3)多摩川工場は東京23区内の営業店からの衣服等のクリーニングを担当している。
(4)多摩川工場では220名ほどが働いており、多くがクリーニングの認定資格を保有。
2.見学会内容
(1)洗浄剤としては、水(湯)か有機溶剤かの使用を対象衣類の素材によって決めている。
(2)精密機器メーカーや製薬会社等のユニフォーム等のクリーニングは、クラス1000の基準を満たすクリーンルーム内で行なっている。
「DUST-Free BIOLOGICALLY–Clean」を表明
※クラス1000とは1立方フィート中に粒径0.5μm以上のゴミが1千個以下の基準のこと
(3)一般の衣類等のうちワイシャツ等の綿製品は、水(湯)でクリーニングしている。
色物は水洗い、白物は湯洗いが基本である。
ウール製品等はドライクリーニング対象で、洗浄剤として有機溶剤を使用している。
クリーニング対象の6~7割がドライクリーニングである。
(4)クリーニング後はアイロン掛けするが、アイロン掛けには3ランクあり、最高ランクの全て手作業で細部に渡りアイロン掛けするものから、手作業であってもアイロン掛けする範囲が一定の範囲に収まっているものまであり、手作業が相当程度存在する。
最高ランクのスーツのクリーニングは、ボタンの破損防止のためボタンを外してクリーニングし、クリーニングしてアイロン掛け後にボタンを付ける手間を掛けている。
ワイシャツの最高ランクのクリーニングは通常の3倍の料金(750円)だが、仕上がりが違うのが理解できる。
(5)各営業店から来た衣類は各営業店でタグを付け、工場でタグを読み取り、クリーニングやアイロン掛け後にカバーを掛けて営業店に送るわけだが、カバーを掛けた衣類の営業店別の仕分け作業は自動で行われている。
(6)工場正面入口の池に錦鯉などが泳いでいるが、排水の安全性確認の意味もある。
3.質疑応答
(1)使用している巨大な洗濯機はどこの製品か。
⇒中国製が以前は多かったが、メンテナンスの問題から日本製に置き換わっている。
(2)洗浄剤としての水や有機溶剤の廃液はどのように処理しているのか。
⇒有機溶剤は全て廃棄業者に委託して産業廃棄物として処理している。
水は一旦、沈殿槽に溜めて、上澄み液を下水道に排出している。
【報告 角野章之】